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油井宇宙飛行士活動レポート&ニュース
油井宇宙飛行士活動レポート&ニュース
2025.09.03

油井宇宙飛行士 軌道上活動レポート Vol.1(8/2〜8/17)

油井亀美也宇宙飛行士が10年ぶりに国際宇宙ステーション(ISS)に到着し、2回目の長期滞在ミッションをスタートさせました。到着直後の数日間は、大西卓哉宇宙飛行士も滞在しており、日本人宇宙飛行士が2人揃う、とても貴重な状況となりました。

それでは、この期間で行われた油井亀美也宇宙飛行士の活動の一部を紹介します。

8月2日0時43分、油井宇宙飛行士らが搭乗するクルードラゴン宇宙船運用11号機(Crew-11)が、米国フロリダ州 ケネディ宇宙センターから打ち上げられました。Crew-11は同日中にISSへ到着。15時27分にISSへドッキングし、16時46分ごろにISSとの間のハッチが開きました。油井宇宙飛行士はISSに移ると、大西宇宙飛行士とハグをし、ハイタッチで軌道上の再会を祝いました。

ウェルカムセレモニーで手を振る油井、大西両宇宙飛行士とISSクルー(Image by JAXA/NASA)

Crew-11に油井宇宙飛行士らが乗り込み、打ち上げられるまでの様子と、ISSに到着して油井宇宙飛行士の長期滞在が始まるまでの様子は、それぞれレポート記事としてまとめられているので、ぜひ、お読みください。

また、油井宇宙飛行士は、大西宇宙飛行士とのペアルックの写真を添えて、10年ぶりのISS到着をSNSで報告しました。(油井宇宙飛行士 X

「きぼう」で記念撮影を行う大西、油井両宇宙飛行士(Image by JAXA/NASA)

8月4日、大西宇宙飛行士と油井宇宙飛行士の引継ぎ式および軌道上記者会見が、報道関係者向けに実施されました。引継ぎ式では、大西宇宙飛行士からタスキを受け取った油井宇宙飛行士が、「重力がないけれど重いです」とコメントし、日本の宇宙開発をしっかりと前進させる決意を新たにしました。記者から「2人で一緒にやりたいことはありますか」との質問には、「写真コンテストなんかはいいかなと思っています」と答えていました。

当日の模様は、JAXAのYouTubeチャンネルでアーカイブ配信されているほか、レポート記事としてもまとめられています。

軌道上記者会見にて大西宇宙飛行士から油井宇宙飛行士にタスキを受け渡す様子(Image by JAXA/NASA)

この日は大西宇宙飛行士と油井宇宙飛行士のビデオメッセージの撮影がありました。今回は、地上からInt-Ball2を操作し、撮影のサポートをしています。また、それぞれのミッションの合間を縫って、大西宇宙飛行士から油井宇宙飛行士へ科学実験などについての引き継ぎも行われました。地上の訓練ではわからない細かい注意点なども伝えられたそうです。(油井宇宙飛行士 X

大西宇宙飛行士から「きぼう」の作業の引継ぎを受ける油井宇宙飛行士(Image by JAXA/NASA)

8月5日、軌道上記者会見の際に話題に上がった写真コンテストの開催が、油井宇宙飛行士のSNSで発表されました。2枚の写真のうち、気に入った方に投票していただき、どちらがたくさんの票を集めるか競います。(油井宇宙飛行士 X

8月6日、静電浮遊炉(Electrostatic Levitation Furnace: ELF)での実験準備作業をしました。ELFは、静電気力によって試料を浮遊させ、レーザー光をあてることで試料を加熱する装置です。地上では実施できない物質の密度や表面張力などの精密な測定を行います。

さらに、細胞培養装置追加実験エリア(Cell Biology Experiment Facility-Left: CBEF-L)の機能確認のために開けておいたガス供給バルブを閉めました。CBEF-Lは、細胞培養や小動物の飼育など、「きぼう」での生命科学の実験等に幅広く対応することのできる実験装置です。

8月7日、「火災安全性向上に向けた固体材料の燃焼現象に対する重力影響の評価(Fundamental Research on International Standard of Fire Safety in Space -base for safety of future manned mission: FLARE)」実験の準備として、固体燃焼実験装置(Solid Combustion Experiment Module: SCEM)のガスボトルにガスを供給する配管のバルブを開きました。FLAREは、SCEMを使用して様々な材質・形状の固体材料を燃焼させる実験です。

ハードウェアを点検する油井宇宙飛行士(Image by JAXA/NASA)

また、この日は大西宇宙飛行士と油井宇宙飛行士の写真コンテストの結果が、油井宇宙飛行士のSNSで発表されました。投票結果はどうなったのでしょうか。気になる方は、リンクからご確認ください。(油井宇宙飛行士 X

8月8日、ELF試料ホルダを交換しました。その後、地上からELFの機能確認し、ELF/MSPR2ラックを遮断しました。さらに、FLARE実験の後処理として、SCEMのガスボトルにつながる配管を閉じました。

8月9日7時15分、大西宇宙飛行士が搭乗したクルードラゴン宇宙船運用10号機(Crew-10)がISSから離脱し、地上へ向かいました。これで、ISSは再びクルー7人体制に戻り、ISSに滞在する日本人宇宙飛行士は油井宇宙飛行士のみとなりました。

帰還直前の大西宇宙飛行士と記念撮影を行う油井宇宙飛行士(Image by JAXA/NASA)

8月10日、ISSが日本上空を通過する際に、油井宇宙飛行士が日本を撮影しました。係留中のソユーズ宇宙船を入れるなど、いろいろな構図で撮影しています。皆さんが住んでいる場所や入ったことのある場所が写っているか、ぜひ、お確かめください。(油井宇宙飛行士 X

8月13日、油井宇宙飛行士がサポートをして、JEM船内可搬型ビデオカメラシステム実証2号機(Int-Ball2)を使用した実証実験を実施しました。実験後、Int-Ball2が取得したデータを地上に送信しました。この日、油井宇宙飛行士はとても忙しかったそうです。こういうときでも、ISSクルーは協力して、毎日の仕事を進めています。(油井宇宙飛行士 X

8月15日、前日から実施していたFLARE実験の後処置として、SCEMガスボトル配管のバルブを閉めました。

今回のレポートは以上です。 次回は9月中旬を予定しています。

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