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油井宇宙飛行士活動レポート&ニュース
油井宇宙飛行士活動レポート&ニュース
2026.08.07

宇宙から見る地球を「自分ごと=My Earth」に。 油井宇宙飛行士も参加した『My Earth文化祭』で、地球へのさまざまな視点を共有。

イベント会場の様子(Image by CONSEO)

「宇宙から見る地球」を多角的に味わう特別イベント “『My Earth文化祭』” が7月25日(土) に日テレホールにて開催されました。このイベントは、衛星地球観測コンソーシアム(CONSEO)と日本テレビ放送網株式会社の共催によるもので、JAXAも開催に協力。登壇者には、CONSEOの広報アンバサダーを務め、今年1月に国際宇宙ステーション(ISS)から帰還した油井亀美也宇宙飛行士の他、JAXAの研究者や防災の専門家、歌人の俵万智氏、哲学者の谷川嘉浩氏、全国から選ばれた高校生特派員といった、ジャンルも立場も異なる方々が招かれました。そして、「地球を共に感じよう!衛星地球観測データがアップデートするわたしたちの視点」というサブタイトルのもと、さまざまな視点から地球を見つめ、“自分ゴト=My Earth” として捉える体験が共有されました。

オープニング

イベントは、司会を務める桝太一氏の挨拶と会場からの温かい拍手でスタート。桝氏は開会を宣言した後、自身が広報アンバサダーを務める衛星地球観測コンソーシアム(CONSEO)の活動について紹介。その中で、天気予報やスマートフォンのGPS、農業、水道管の老朽化チェックなどを例に挙げ、一見遠く感じる人工衛星が、実は私たちの日常生活に欠かせない身近な存在であることを説明しました。

司会を務める桝太一氏(Image by CONSEO)

第一部:油井宇宙飛行士からの「宇宙から見る地球」

プログラムの第一部には、2025年8月から約5か月間、ISSに長期滞在した油井亀美也宇宙飛行士が登壇。まずはミッションのハイライト映像を上映し、自身が取り組んだ活動のあらましを紹介しました。続いて、自身がISSから撮影した地球の映像を上映。日本列島の昼と夜の景色、月明かりに照らされた富士山、東京のまばゆい夜景、バハマ諸島のサンゴ礁、サハラ砂漠、オーロラ、天の川、レモン彗星など、多様な地球の表情を紹介し、宇宙から見る地球の圧倒的な美しさを伝えました。さらに「地球を共に感じよう」と題し、衛星地球観測コンソーシアム(CONSEO)や防災科学技術研究所(NIED)と連携して行った、SNSでの発信活動にも言及。この活動では、人工衛星による地球の観測データと組み合わせた情報や、自然災害に関する情報が発信できたことで、地球の美しさを伝えるだけにとどまらず、新たな価値の創出にもつながったと述べました。

自身が取り組んだ活動を紹介する油井亀美也宇宙飛行士(Image by CONSEO)

第二部:地球を共に感じよう!

第二部では、油井宇宙飛行士のSNSでの発信活動「地球を共に感じよう」に一緒に取り組んだ、JAXA 地球観測研究センターの武藤正剛と、防災科学技術研究所の田口仁氏が、それぞれの視点から発表を行いました。その中で、JAXAで運用されている地球観測衛星は現在9機あること、宇宙全体で見るとその数は数百にも及ぶことが語られ、衛星が捉える定量的なデータが、地球の気候や環境のより深い理解につながり、災害対応においても重要な役割を果たすことが紹介されました。また、実際に油井宇宙飛行士が投稿した東南アジア上空の写真をきっかけに、JAXAの雨量観測データと防災科研の土砂災害分析を組み合わせて、インドネシアで起こり得る災害を客観的に把握する事例があったことも紹介されました。

研究者の視点からの解説の様子(Image by CONSEO)

(左)JAXA 地球観測研究センター武藤正剛 (右)防災科学技術研究所の田口仁氏(Image by CONSEO)

続いて、JAXA地球観測プログラム戦略室の村木祐介が「My Earthミッション」の一環として、公募で選ばれた高校で実施した「宇宙から見る地球」に関する特別授業について紹介。その後、「My Earthミッション」高校生特派員として福岡県の柳川高等学校、福岡女子商業高等学校、東京都の芝高等学校の生徒たちが、JAXAによる特別授業を通じて得た気づきや学びの成果を発表しました。

「My Earthミッション」での特別授業を紹介するJAXA地球観測プログラム戦略室の村木祐介(Image by CONSEO)

芝高等学校

宇宙から撮影された写真に、人類の美しい営みだけでなく、国境や格差といった「負の側面」があることに気付かされたと語りました。そして、誰もがそれぞれの感性で地球を自分ゴトとして捉えると、負の問題の解決に取り組むきっかけにもなり得るのでは…と期待を寄せました。

芝高等学校の生徒が発表する様子(Image by CONSEO)

柳川高等学校

宇宙から見ると国境も争いも見えないことに触れ、地球の一員としての自覚や、異なる文化への意識、美しい地球を未来へ残す責任感が生まれたことを伝えました。また、当たり前の日常の貴重さを再認識し、それを守るためにも自分にできる行動を積み重ねていきたいと語りました。

柳川高等学校の生徒が発表する様子(Image by CONSEO)

福岡女子商業高等学校

商業高校ならではの視点で、「レモン彗星」の写真に「レモン味のこんぺい糖」のタイトルをつけ、マーケティング的な商品開発のアイデアを提案しました。さらに、1つの写真から読み取れる多様な感性の発見があったこと、宇宙についての興味関心が増したことも報告しました。

福岡女子商業高等学校の生徒が発表する様子(Image by CONSEO)

第三部:「宇宙から見る地球」を味わいつくそう!

第三部では、科学の枠を超えたさまざまなアプローチから「宇宙から見る地球」の魅力を掘り下げる企画が展開されました。日本テレビ宇宙ビジネス事務局長の加藤友規氏が紹介したのは、気象衛星ひまわりの静止画像をなめらかにつなぎ合わせ、地球の「今」を映し出す「TerraCaster(テラキャスター)」。この映像システムにより、まるで宇宙飛行士のような視点で地球が味わえることを伝えました。また、歌人の俵万智氏は日本文学における星空の表現について講演。加えて、「宇宙から見る地球」をテーマに、自身のSNSで油井宇宙飛行士と短歌交換をした体験や、「#MyEarth短歌」というハッシュタグで募った一般の方々の作品も紹介し、感性を通した味わい方があることを語りました。さらに哲学者の谷川嘉浩氏は、西洋哲学の起源が天文学者タレスにあることを紹介。パスカルの「人間は考える葦である」という言葉を引用して、宇宙に対する不遜さと謙虚さの両面について論じ、思索を通した哲学的な味わい方を共有しました。

「宇宙から見る地球」をテーマに、短歌を通して宇宙の魅力を語る歌人・俵万智氏(Image by CONSEO)

(左)気象衛星ひまわりの映像システム「TerraCaster」を紹介する日本テレビ宇宙ビジネス事務局長・加藤友規氏。(右)哲学の視点から宇宙と人間の関係を考察する哲学者・谷川嘉浩氏。(Image by CONSEO)

第四部:パネルインタビュー:油井宇宙飛行士と「地球を共に感じよう!」

ラストとなる第四部では、パネルインタビューが行われ、高校生特派員たち、俵万智氏、谷川嘉浩氏から油井宇宙飛行士へ直接質問が投げかけられました。

芝高等学校の生徒から「宇宙に行って一番予想外だったことは?」と問われると、油井宇宙飛行士は「地球があまりにも美しいことと、地球を守る大気の層が驚くほど薄いこと」を挙げました。そして、「宇宙に行った瞬間に、この地球を大切にしなければならないと強く感じた」と熱く語りました。続いて、柳川高等学校の生徒からの「高校生に宇宙で何を見て欲しいか?」という質問に対しては、「自分の得意分野や感性を活かして地球を見て欲しい」とアドバイスしました。また、福岡女子商業高等学校の生徒からの「地球のどの色に惹かれるか?」という問いには、「地球の青さは何にも代えがたい」としつつも、砂漠や雲、雷など「全ての色が美しい」と答えました。

パネルインタビューの様子(Image by CONSEO)

さらに、宇宙での生活についても詳しく語られ、ISSでは英語とロシア語が公用語であり、各国のモジュールごとに法律が適用されること、食事は重要な娯楽のひとつで、日本宇宙食は国際的に人気が高いことなども紹介しました。そして、その人気の高い日本宇宙食を、他の国の宇宙飛行士のお菓子などと交換するための「通貨」のように使っていたというエピソードや、宇宙から富士山を見るたびに「日本に帰りたい」と感じていたという本音も明かしました。

エンディング

パネルインタビューの最後、油井宇宙飛行士は今回のイベントを振り返り、人文科学の方々や高校生との対話から新しい視点と地球の見方を学ぶことができ、新鮮な体験だったと語りました。また、それぞれの人がそれぞれの地球観を持ち、それを活かす場所が宇宙にあることを実感し、可能性を強く感じたと述べました。今回のイベントでは、地球観測衛星による「科学の目」と、短歌や哲学、そして高校生特派員たちのみずみずしい「感性の目」が交差することで、地球を多角的に見つめ直す機会が生まれました。そして、参加者一人ひとりが自分なりの「My Earth」と向き合う時間となりました。最後に桝太一氏は、人工衛星から見た地球の映像が手軽に見られる時代になったことを強調し、「それぞれにとってのMyEarthのあり方を探して欲しい。多くの人工衛星が私たちの頭の上を飛んでいることを、改めて実感する夏にして欲しい」と呼びかけて、イベントを締めくくりました。

油井亀美也宇宙飛行士と登壇者、高校生特派員(Image by CONSEO)

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