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油井宇宙飛行士活動レポート&ニュース
油井宇宙飛行士活動レポート&ニュース
2026.02.27

JAXA油井亀美也宇宙飛行士による地球帰還後記者会見

2月5日、宇宙から帰還し、リハビリを続けている油井宇宙飛行士が、長期滞在ミッションに関するオンライン記者会見を行いました。2025年8月から2026年1月までの約166日間の宇宙滞在を振り返りました。

帰国記者会見に臨む油井宇宙飛行士(Image by JAXA)

油井宇宙飛行士冒頭の挨拶(抜粋/要約)

本日は、お忙しい中お集まりいただき、またご視聴いただき、誠にありがとうございます。私は昨年8月からISSに長期滞在を行い、先月15日に無事、地球へ帰還しました。予定より若干早い帰還となりましたが、クルー全員が協力し合い、訓練を生かしながら任務を遂行することができました。ISSでの運用そのものはその後も順調に進んでおり、何より我々全員が健康に地上へ戻ってこられたことが一番良かったと感じています。

私としては、軌道上では、HTV-X 初号機のキャプチャや二酸化炭素除去装置の設置など、印象的な作業がいろいろとありました。困難もありましたが、無事に達成することができましたし、私自身もミッションを楽しむことができました。また、写真やビデオ撮影もたくさん行い、多くの方に見ていただくことができました。

日本に帰国して皆さまに詳細なミッション報告をさせていただくのはリハビリが終わった後になると思います。ミッションを終えて、まずは無事に帰って来られたことにホッとしております。

質疑応答(抜粋/要約)

-今回、予定よりも早い帰還となったことで、油井さんが本来予定していたものの実施できなかったことがあれば、教えてください。また、ISSに残っているメンバーやCrew-12の方々との引き継ぎはどのように行いましたか。

もう1か月滞在していたとしたら、まず、先日、実施された小型衛星の放出を担当していたと思います。また、防災科学技術研究所(防災科研)との取り組みや、地球観測、国立天文台とのコラボイベントなど、すでに計画・告知されていた企画もありました。

短い時間でしたが、小型衛星の放出作業や「きぼう」ロボットプログラミングチャレンジなど、軌道上で担当する予定だった業務については、米国のクリストファー・ウィリアムズ宇宙飛行士に必要なポイントを引き継ぎました。

Crew-12の方々との引き継ぎは行えていません。最近は軌道上と地上との通信環境が非常に良くなっています。もしCrew-12が軌道上に滞在した後でも、質問があれば私たちと通信し、必要な情報を伝えることができると思っています。もちろん、顔を合わせて軌道上で引き継ぎを行うのが理想ではありますが、それ以外の方法でもサポートが可能な体制は整っています。

-限られた期間の中で、特に「やりきった」と感じられたことについて、もう少し詳しくお伺いしたいです。

今回のミッションでは、10年前に実施した1回目のミッションへの恩返しがしたいという思いがあり、できるだけ多くの方々のリクエストに応え、可能な限り多くの仕事に取り組もうと考えていました。軌道上で計画されていたタスクはもちろんのこと、余暇の時間も使って写真やビデオの撮影、情報発信など、あらゆることに全力で取り組んでいました。帰還が早まったとしても、気持ちとしては「やり切った、良いミッションだった」と胸を張って言えます。

特に印象深いのは、HTV-X初号機のキャプチャ担当を務めたことです。全力で取り組もうと準備し、周囲の皆さんにも多くの協力をいただきながら臨んだ結果、無事に任務を果たすことができました。

-長野県内、特に川上村では、多くの方々が油井さんのご活躍を楽しみにされていました。そうした応援が、どのような形で力になりましたか。

川上村、長野県、そして日本全体。軌道上から地球を見るたびに、いつも皆さんから力をいただいていました。それもあって、今回のミッションでは、前回の数倍は写真やビデオを撮影していたと思います。仕事で忙しいときは別として、それ以外の時間は、なるべく地上を撮影するようにしていました。

写真を撮りながら地上を眺めていると、そこに暮らす皆さんの顔が思い浮かび、懐かしい気持ちとともに、大きな励ましを受けました。一方で、地上の皆さんも、ISSを見上げながら応援してくださっていたと聞き、私の発信する写真や動画で元気を受け取っていただけたなら、とても嬉しく思っています。

-今回の滞在は、最後の方で緊迫した場面もあったかと思います。そういった状況の中で、日頃の訓練は役立ちましたか。

自分でも驚いたのですが、訓練してきたことは考えなくても体が自然に動くほど身についていました。自分自身だけでなく、クルー全体が落ち着いて行動できたことがとても印象的でした。もちろん、クルーだけでなく、地上の支援体制も含めて迅速に対応できたことは大きかったと思います。常に緊張感をもって勤務している地上の皆さんには、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。訓練の成果と地上からのサポートのおかげで、ご覧の通りクルー全員が元気に帰還することができました。

今後どんな事態が起こったとしても、私たちはしっかり訓練を積み重ね、すべて想定内として対応できる体制にあります。初めての事態でも、皆が落ち着いて対処し、クルーを安全に帰還させることができました。この経験を今後の探査活動にも生かしていけば、日本、そして世界の有人宇宙開発はより安全で素晴らしいものになると感じています。月面活動を目指すうえでも、貴重な経験になったと思います。

-予定を早めて緊急帰還と聞いたときの率直な感想と、実際に帰還までの数日間をどのような思いで過ごしましたか。

早期帰還が決まったときは正直なところ驚きがありました。しかし同時に、その決断をされた地上の関係者の皆さんに対し、強い敬意と感謝の気持ちが湧きました。多くの組織が関わる大きなプロジェクトですので、途中でクルーを早期帰還させるという判断は決して容易ではなかったはずです。それでもクルーの安全を最優先し、早期帰還を決断してくださったことに本当に感謝しています。

私自身は、地上の写真撮影に関して心の中で計画を立てて撮影を続けていました。それが突然短くなると聞いて、少し残念に感じた部分は確かにありました。しかしそれまでの5か月間で、これまでの日本人宇宙飛行士の中でも一番多く写真やビデオを撮ってきたのではないかと思うほど、多くの記録を残してきました。その意味では、心残りはありません。

-今後、諏訪さんの飛行も予定されていますが、次の世代へバトンをどのように渡していきたいと考えていますか。

私自身、宇宙ステーションでの長期滞在は今回が2回目になります。宇宙ステーションそのものが今後どこまで運用されるのかを考えると、今回が最後の滞在になるだろうと感じていました。また、宇宙へ行ける機会そのものが極めて限られている中で、日本の将来の宇宙開発を見据えれば、若い世代へのバトンタッチも進めていく必要があります。

もちろん私自身も、月や火星へ行きたいという思いはあります。しかし、それが実現可能かどうかはまた別の問題で、これからは後進を育てる方向へ徐々にシフトしていくべきだと感じています。

諏訪さんもすでにアサインに向けた訓練が始まり、がんばっています。直接の助言はもちろん、今後の訓練計画や調整といった面でも、間接的に支援していければと考えています。地上でも私にできることは、まだまだたくさんあると感じています。

笑顔で手を振る油井宇宙飛行士(Image by JAXA)

油井宇宙飛行士会見終了の挨拶(抜粋/要約)

ミッション通じて応援していただき、本当にありがとうございました。リハビリが終わって日本に帰り、皆さんと顔を合わせて、直接、恩返しできる日を楽しみにしております。これからも明るい未来のために一緒にがんばっていきましょう。今日はどうもありがとうございました。

会見には、24名のメディアが参加し、多くの質問が寄せられました。
当日の様子は、JAXA YouTubeチャンネルでアーカイブされていますので、ぜひご覧ください。

JAXA油井 亀美也宇宙飛行士による帰還後記者会見(42分05秒)

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