Report & News
油井亀美也宇宙飛行士のふるさと、川上村と国際宇宙ステーション(ISS)をつなぐ交信イベントが行われました。
11月17日(月)に、油井亀美也宇宙飛行士が滞在する国際宇宙ステーション(ISS)と、油井宇宙飛行士のふるさとである長野県川上村の会場、そして川上村の友好都市であり、JAXAの沖縄宇宙通信所の所在地でもある沖縄県恩納村のサテライト会場とを結んで、交信イベントが開催されました。
イベント会場の様子(Image by JAXA)
会場およびサテライト会場でのオープニングプログラム
本イベントは、長野県川上村と沖縄県恩納村、そして臼田宇宙空間観測所がある長野県佐久市、国立天文台 野辺山宇宙電波観測所がある長野県南牧村を含む、佐久広域連合が連携して開催されました。これらの地域は、宇宙や油井宇宙飛行士にゆかりが深いという共通点があります。
油井宇宙飛行士との交信に先立って行われたのは、イベント開催のために連携した地域、施設によるプログラム。ISSがなぜ落ちてこないのかという宇宙の仕組みの話や、高校生が17年かけて挑んだ超小型衛星開発の話など、宇宙にまつわる興味深い話題が展開されました。
国立天文台の所長による宇宙解説
国立天文台野辺山宇宙電波観測所の西村所長が登壇し、宇宙の仕組みを面白く解説。ISSが地球に落ちてこないのは秒速8kmで飛び続けているためと説明しました。また、野辺山観測所の電波望遠鏡が、人間が行くことのできない遠い宇宙を調べる役割を持つことを紹介しました。
国立天文台の所長による宇宙解説の様子(Image by JAXA)
高校生が開発した超小型衛星「てるてる」紹介
駒ヶ根工業高校の生徒たちが17年かけて制作した超小型衛星HMU-SAT2、愛称「てるてる」を紹介。今後ISSから放出され、地球に向けてLEDの光によるモールス信号で「亀美也さん空への夢をありがとう」のメッセージを送る予定であることを説明しました。
友好都市と繋がる「島人ぬ宝」合唱
川上村の友好都市である沖縄県恩納村との交流コーナーも設けられ、両会場で「島人ぬ宝」を合唱。川上村の小学生によるエイサー太鼓と、恩納村の三線(サンシン)奏者35名による演奏が共演し、お互いの絆を深めました。
川上村の小学生によるエイサー太鼓と恩納村の三線の共演で「島人ぬ宝」を合唱(Image by JAXA)
JAXA施設と未来館の宇宙体験の紹介
JAXA臼田宇宙空間観測所に設置されている巨大な64mアンテナなど、宇宙探査を支える施設が紹介されました。また、油井宇宙飛行士が2018年から名誉館長を務める佐久市こども未来館には、県下最大のプラネタリウムや、油井宇宙飛行士を身近に感じられる展示があることが紹介されました。
油井亀美也宇宙飛行士とのISSリアルタイム交信
イベント後半は、今回のハイライトでもある油井宇宙飛行士とのリアルタイム交信。会場前方に掲げられた大きなスクリーンに油井宇宙飛行士の姿が映し出されると、会場からは「おおぉ」という声が上がりました。
冒頭、川上村、恩納村の両村長が油井宇宙飛行士にエールを贈ると、油井宇宙飛行士は感謝の言葉を述べ、「今日のイベントをとても楽しみにしていました」「皆さんから元気をもらって、今後も頑張っていきたいです」と挨拶しました。
そしてここからは、お待ちかねのQ&Aコーナー。質問者が壇上に上がり、油井宇宙飛行士に向けて疑問をぶつけました。
油井宇宙飛行士とのリアルタイム交信の様子(Image by JAXA)
油井宇宙飛行士とのQ&Aコーナー
―無重力はどのような感覚ですか?
無重力はむちゃくちゃ快適です。運動神経が悪い私でも、スポーツ選手のようにすぐに回転などの動きができます。寝る時も非常に快適ですが、物がすぐどこかに飛んでいって無くなってしまうので、それには注意が必要です。
―水はどうやって飲むのですか?
ISSでは、水はおしっこや汗を再生して利用します。きれいになった水が出てくる機械があり、ボタンを押すと温水または普通の水が出てきます。それをパッケージに入れてストローで飲みます。川上村の水のおいしさには負けますが、美味しい水です。
―宇宙でくしゃみをしたらどうなりますか?
姿勢を保っている状態であれば問題ありません。ただ、緩く釣った状態の寝袋で寝ていた時には、くしゃみの勢いで体が前に飛んでしまいました。実際に、壁に頭をぶつけた経験があります。
―なぜ宇宙飛行士になろうと思ったのですか?
川上村の夜空の星の美しさに感動し、宇宙に興味を持ったことがきっかけで、宇宙飛行士か天文学者になりたいと思いました。夢を諦めずに頑張っていたら本当に実現したので、皆さんも「できない」と決めつけずに自分の夢を追い続けてください。
油井宇宙飛行士に向けて声援が送られる会場の様子(Image by JAXA)
―宇宙で睡眠の質は落ちませんか?
宇宙ではふわふわ浮いた状態の寝袋で寝ていますが、とても快適です。地上とは異なり背中などが痛くならず、最高のマットレスで寝ているような感覚です。快適すぎて寝過ごす可能性があるため、目覚ましをしっかりかける必要があります。
―宇宙から恩納村の海は見えますか?どんな色ですか?
沖縄周辺の海は世界有数の美しさがあり、非常に濃いブルー(真っ青)に見えます。川上村の標高が高いところから見る美しい青空と同じような色で、とてもきれいです。両村は同じ色の海と空とで繋がっているかもしれません。
―呼吸や会話のために船内ではどんな工夫がされていますか?
「きぼう」の船内も、船外活動の際に着る宇宙服内も、しっかり空気が確保されているので呼吸は可能です。会話は通常どおりできますが、騒音がある場所では大きめの声で話す必要があります。また地上や仲間と通信する際にはマイクロフォンを使うこともあります。
駒ヶ根工業高校の生徒から油井宇宙飛行士へのエール
Q&Aコーナーが終わると、超小型衛星「てるてる」の開発に関わった駒ヶ根工業高校の教諭と生徒が壇上に上がり、油井宇宙飛行士にメッセージを送りました。その中で、「てるてる」が宇宙から送るメッセージの中には、川上村の皆さんと一緒に考えた“亀美也さん、空への夢をありがとう”というメッセージも含んでいることが伝えられました。油井宇宙飛行士は、宇宙からメッセージを送るミッションを「素晴らしいアイデアだと思う」と称賛し、「てるてる」の宇宙放出ミッションの一部を自身が手伝うことができることを非常に嬉しく思っていると述べました。
イベント参加者全員による「故郷」の斉唱
イベントのクライマックスでは、油井宇宙飛行士の合図に合わせて、川上村と恩納村の会場の参加者全員で「故郷」を斉唱しました。油井宇宙飛行士は「私もいつも故郷のことを思っています」と述べ、参加者の歌声に感謝を伝えました。
油井宇宙飛行士から参加者へのご挨拶
最後に、油井宇宙飛行士は「会場の皆さんからパワーをいただきました。期待に応えられるようミッションを頑張ります」と伝えました。また、「夢を叶えるためには、まず夢を持つことが大切です。諦めずに挑戦してください。私にできたのだから、みなさんにもできます」と力強く呼びかけて、挨拶を締めくくりました。
※本文中の日時は全て日本時間