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油井宇宙飛行士活動レポート&ニュース
油井宇宙飛行士活動レポート&ニュース
2025.09.11

油井宇宙飛行士 軌道上活動レポート Vol.2(8/18〜8/31)

大西宇宙飛行士の後を引き継いだ油井宇宙飛行士は、様々な宇宙実験を進めています。この期間には地上からの補給船が到着し、新たな実験試料が国際宇宙ステーション(ISS)に届きました。

それでは、この期間で行われた油井亀美也宇宙飛行士の活動の一部を紹介します。

8月18日、「宇宙環境が植物の細胞分裂に与える影響の解明(Effects of space environments on cell division in plants: Plant Cell Division)」実験の準備作業として、加湿器に水を入れ、実験装置に取り付けました。Plant Cell Division実験は、植物の細胞分裂過程における重力の影響を調べるもので、将来的には宇宙や地上での効率的な作物生産システムの構築に役立つと期待されています。

また、この日は「火災安全性向上に向けた固体材料の燃焼現象に対する重力影響の評価(Fundamental Research on International Standard of Fire Safety in Space -base for safety of future manned mission-: FLARE)」実験の準備として、固体燃焼実験装置(Solid Combustion Experiment Module: SCEM)のガスボトル配管のバルブを開きました。

8月19日、船外実験プラットフォームに搭載しているハイパースペクトルセンサ「HISUI」のデータ記録用のハードディスクドライブを交換しました。HISUIは可視域から短波長赤外域までの広範囲の波長のデータを連続的に取得できるセンサで、鉱物などの資源探査、環境調査、農作物や土壌の調査など、幅広い分野で活用できます。

8月22日、FLARE実験が終わり、後処置としてSCEMガスボトル配管のバルブを閉じました。

8月23日、油井宇宙飛行士がISSから撮影した熊本付近の写真をSNSに投稿しました。熊本城は雲の下に隠れてしまったようですが、山や川などの地形がISSからも確認できることがわかります。(油井宇宙飛行士 X

ISSから撮影された熊本市(熊本県)(Image by JAXA/NASA)

8月24日、新たな試料でのFLARE実験を開始するために、SCEMガスボトル配管のバルブを開きました。

この日の15時45分に、ドラゴン補給船運用33号機(SpX-33)が米国フロリダ州 ケープカナベラル空軍基地40番射点から打ち上げられ、同日20時05分にISSへドッキングしました。

地球周回軌道を飛行するISSは、食料や衣類、酸素、水などを地上から定期的に補給し、クルーが常駐する体制を維持しています。ドラゴン補給船もそうした補給を担う宇宙船のひとつとして、ISSの運用を支えています。 今回のSpX-33は、2,300kg以上の物資をISSまで運びました。その中には、油井宇宙飛行士が実施する宇宙実験の試料なども含まれています。

ドラゴン補給船で届けられた装備の設置作業をする油井宇宙飛行士(Image by JAXA/NASA)

8月25日、油井宇宙飛行士がSNSの投稿で、「宙亀通信」復活の可能性について言及しました。宙亀通信は、2015年に油井宇宙飛行士がISS長期滞在した際に配信していた動画レポートです。この投稿を見た人たちからは、復活に期待する声が寄せられています。(油井宇宙飛行士 X

8月26日、JEM船内可搬型ビデオカメラシステム実証2号機(Int-Ball2)のソフトウェア機能の確認を行いました。

8月27日、油井宇宙飛行士が、日本を代表する都市である大阪、名古屋、東京の夜景の写真を、SNSに投稿しました。夜間の地上は、光によって人間の活動が浮かび上がります。特に都市部は、夜になってもたくさんの人たちが活動していることが伺えますね。大阪上空では、関西・大阪万博の会場も確認できました。(油井宇宙飛行士 X

ISSから撮影された大阪・関西万博会場(大阪府大阪市)の夜景(Image by JAXA/NASA)

8月28日、Plant Cell Division実験の準備として、試料の緑藻植物コレオケーテとタバコ培養細胞を植物実験ユニット(Plant Experiment Unit: PEU)に入れ、細胞培養装置(Cell Biology Experiment Facility: CBEF)の追加トレイに設置し、培養を開始しました。加えて、SCEMガスボトル配管のバルブを開けて、FLARE実験の準備もしました。

8月29日、前日から実施していた FLARE実験を終了し、その後処理として、SCEMガスボトル配管のバルブを閉じました。

8月30日、油井宇宙飛行士が、ISSから撮影したタイムラプス映像を自身のSNSに投稿しました。北米上空の夜景を撮影したもので、地上の光だけでなく、色づいた大気の層やたくさんの星々も写っている美しく、貴重な映像です。(油井宇宙飛行士 X

北米で撮影したタイムラプス(Image by JAXA/NASA)

今回のベストショットは、8月31日に油井宇宙飛行士がSNSに投稿した熊本城周辺の写真です。3度目の挑戦で、ISSからの熊本城の撮影に成功しました。雲の様子は刻一刻と変化するので、運の要素も出てきますが、油井宇宙飛行士の粘り強い挑戦が成功を導きました。2016年の熊本地震で甚大な被害を受けた熊本城は、現在も再建が続いています。(油井宇宙飛行士 X

「地球を共に感じよう」プロジェクトでは、自然災害をはじめとする地球のさまざまな姿を、宇宙からの視点で捉え、Earth Diaryを通じて油井宇宙飛行士が撮影した写真とともに日々発信しています。地球観測の多様な視点を楽しみながら、ぜひご覧ください。

ISSから撮影した熊本城(Image by JAXA/NASA)

今回のレポートは以上です。 次回は9月中旬を予定しています。

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