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野口宇宙飛行士の活動レポート

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2020.12.14

野口宇宙飛行士ウィークリーレポート Vol.4(12/4~12/10)

12月7日(日本時間)にドラゴン補給船運用21号機(SpX-21)が打ち上げられ、12月8日(日本時間)、国際宇宙ステーション(ISS)に到着しました。ドラゴン補給船によってISSに届けられた補給物資の中には、JAXA搭載品として、「きぼう」日本実験棟を利用した科学実験に関する装置やサンプルが含まれています。また、ISSに長期滞在する宇宙飛行士がクリスマスや新年を楽しく過ごせるように、NASAが準備した生鮮食品(リンゴ、オレンジ、レモンなど)や休暇用の特別宇宙食も運搬されました。

食事後の宇宙飛行士(2020年12月4日撮影)(左から、キャスリーン・ルビンズ宇宙飛行士、セルゲイ・リジコフ宇宙飛行士、野口聡一宇宙飛行士、セルゲイ・クド-スべルチコフ宇宙飛行士)(出典:JAXA/NASA)

野口宇宙飛行士は、今週も「きぼう」日本実験棟に関する様々な作業を行いました。

12月6日、野口飛行士は、静電浮遊炉(Electrostatic Levitation Furnace: ELF)の試料カートリッジ清掃を行いました。今回の清掃は実験装置の定期的なメンテナンスの一環であり、メンテナンスによって装置の健全性を維持しながら、今後、様々な試料を対象とした実験を進める予定です。(ELFについては、Vol.2のウィークリーレポートもご覧ください)

12月8日から、野口飛行士は、微小重力環境を活用した臓器創出を目指す三次元培養技術の開発(Space Organogenesis)に関する実験を地上と連携して行いました。
微小重力環境は沈降や対流などが無いため、細胞をより生体内の状態に近い三次元的に展開させることにおいて有利だと考えられています。今回の実験では、ヒト由来のiPS細胞から作製した肝芽(肝臓の基)が人工の大血管の周囲に立体的に凝集することを確認します。
野口飛行士は、軌道上で、保管用冷蔵庫からの実験サンプルの取出しや実験装置への取付け、サンプルの状態を確認するための顕微鏡観察の準備・調整等の作業を行いました。今回の実験を通じて、JAXAと横浜市大は大血管を付与した立体臓器の創出につながる基盤技術に開発を取り組んでいきます。

「きぼう」船内の顕微鏡を操作している野口飛行士(Space Organogenesis実験)(出典:JAXA/NASA)

Space Organogenesis実験作業中の野口飛行士(出典:JAXA/NASA)

筑波宇宙センターのユーザ運用エリアでSpace Organogenesis実験を見守る関係者(谷口PI(代表研究者)、田所CI(共同研究者)等)(出典:JAXA)

筑波宇宙センターのユーザ運用エリアで野口飛行士の作業を見守る関係者(Space Organogenesis実験)(出典:JAXA)

12月10日、野口飛行士は、膜タンパク質結晶化技術実証実験(JAXA MT PCG#5)を担当しました。
対流や沈降のない微小重力環境では、分子配列の乱れが抑制されるため、地上では得られない高品質なタンパク質結晶が得られることが期待されます。今回の実験では、創薬標的の約半分を占める膜タンパク質について、軌道上でタンパク質と脂質を混合する作業を行い、その後、結晶化容器にタンパク質を分注して結晶化を開始しました。20℃で結晶生成させ、ドラゴン補給船運用21号機(SpX-21)で地上に回収される予定です。
なお、JAXAの高品質タンパク質結晶生成実験では、定期的に搭載候補タンパク質の募集を行っています。現在、2021年夏期以降に搭載するタンパク質を募集しているので、ご興味のある方は専用HPをご確認ください。