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古川宇宙飛行士 ミッション報告会を開催しました!

今年3月に地球に帰還した古川聡宇宙飛行士が、アメリカ・ヒューストンでのリハビリを終え日本に帰国。6月23日(日)に東京大学安田講堂にてミッション報告会を開催しました。また、全国46か所のサテライト会場にてパブリックビューイングも行われました。

ミッション報告会に登壇する古川宇宙飛行士(Image by JAXA)

オープニングでは、国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在ミッションのダイジェスト映像が上映された後、進行役を務める国山ハセンさんが壇上に登場。この後の会の流れを説明しました。そして、いよいよ古川宇宙飛行士の登場です。

会場に登場した古川宇宙飛行士(Image by JAXA)

「古川さーん!」の掛け声を受け、会場後方から古川宇宙飛行士が登場。皆さんのあたたかい拍手を受けながら壇上に上がり、ご挨拶をしました。その後、ISS滞在中に行われた交流イベント「古川宇宙飛行士に挑戦!高校生スペースクイズ」で優勝した美甘さんから、地球帰還のお祝いの花束が手渡されました。

美甘さんからお祝いの花束を受け取る古川宇宙飛行士(Image by JAXA)

今回の長期滞在中に実施したミッションの報告は、ビデオ映像を交えたスタイルで行われました。まず前半は、古川宇宙飛行士が宇宙滞在中に行った科学実験や技術実証などの活動を振り返りながら、ISS・「きぼう」日本実験棟に設置されている装置や、実施した実験の内容などについて紹介し、微小重力環境をどのように利用しているのか、今後どのような展望があるのかなどを分かりやすく説明しました。

また後半では、ISSでの生活や余暇の過ごし方、その際に活用した生活用品や宇宙日本食などについても紹介し、どのような工夫があるのか、どのような使い心地なのかなど、自身の感想も交えて語りました。

トークセッションの様子(Image by JAXA)

続くトークセッションのコーナーでは、JAXA国際宇宙探査センター宇宙探査システム技術ユニット ユニット長の田邊宏太、JAXAきぼう利用センター 技術領域主幹の菊池政雄、宇宙大好き芸人のきくりんさんがゲストとして加わりました。ここでは、数々のミッションの中から、特に将来の国際宇宙探査のための実験や実証に焦点をあてたトークが繰り広げられました。その一例として紹介されたのが、FLARE(フレア)実験とも言われる、宇宙での火災安全性を向上させるための固体燃焼実験。地上と宇宙の微小重力環境の間で、物の燃えやすさがどのように異なるのかを詳しく調べる目的で行われた実験です。この実験は今後、国際宇宙ステーションのような宇宙ステーションや宇宙船、またその中で働く宇宙飛行士などを火災から守る安全性の向上だけでなく、宇宙で安全に使える材料の選択肢の増加につながり、国際宇宙探査に大きく貢献していくことが説明されました。

その後、古川宇宙飛行士への質問コーナーに移り、会場からは続々と手があがりました。「宇宙飛行士になる夢を叶えるために頑張ることは何ですか?」「宇宙でいちばん辛かったこと、楽しかったことは何ですか?」「宇宙はどんなにおいがしますか?」「宇宙に行く前と後で人生観が変わりましたか?」などの質問に、古川宇宙飛行士はマイクを持ってそばに行き、それぞれに丁寧に回答しました。

会場から続々と手があがった古川宇宙飛行士への質問コーナーの様子(Image by JAXA)

休憩ではISSで撮影した写真の数々をスクリーンで紹介。その後トークセッション2では、身体の変化や宇宙での生活について、クイズ形式でトークが進んでいきました。「無重力空間である宇宙で生活をすることで身体に起こった変化は?」「身体の変化が起こる主な原因は何でしょう?」「宇宙生活での必需品は何でしょうか?」と言ったクイズが出題され、その答えだけでなく、なぜそうなのかという解説や、解明するために行われている宇宙実験の説明などが古川宇宙飛行士からなされました。

参加者の質問に答える古川宇宙飛行士(Image by JAXA)

その後、再び質問コーナーへと移り「ISS滞在中、いちばん仲が良かったクルーは?」「宇宙でオナラは出ますか?においはどうですか?」「宇宙で汗は出ますか?地球のように汗が流れますか?」「いちばん美味しかった宇宙食は何ですか?」「宇宙では何時間くらい運動をしますか?」など、気になる質問がメイン・サテライトの両会場から続々と寄せられました。古川宇宙飛行士は、それらの質問に時にユーモアを交えつつ、体験者ならではの貴重な内容を織り交ぜて回答しました。

アメリカ・ヒューストンから油井宇宙飛行士と大西宇宙飛行士がビデオメッセージで登場(Image by JAXA)

プログラムの最後には、2025年頃のISS長期滞在搭乗員に指名されており、アメリカ・ヒューストンで訓練を行っている油井宇宙飛行士と大西宇宙飛行士、そして宇宙飛行士認定に向け基礎訓練に励んでいる諏訪、米田両宇宙飛行士候補者がビデオメッセージで登場。それぞれの近況報告に加え、ミッションを終えた古川宇宙飛行士への労いの言葉、これからの自身の抱負などを述べました。

締めくくりの挨拶をする古川宇宙飛行士(Image by JAXA)

約2時間半におよんだミッション報告会のラストは、古川宇宙飛行士から会場およびサテライト会場にお集まりいただいたたくさんの方々に、感謝のメッセージが伝えられました。そして、いろいろな身の回りことに興味を持ち、その中から自分がもっとやりたい、知りたいと思えるものを見つけ、将来こんなことがしたい、こんな人になりたいという夢を持って進んでください、皆さんの夢が叶うよう私も応援していますと述べ、ミッション報告会を締めくくりました。

なお、今回のミッション報告会の様子は、YouTubeでアーカイブ配信を行なっております。当日参加ができなかった方は、ぜひご覧ください。

古川宇宙飛行士のISS滞在中の成果については、こちらでご覧いただけます。

帰還に関するレポートは以下のトピックスで振り返ることができます。

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JAXA 有人宇宙技術部門 Humans in Space人類の
未知への挑戦を。