古川聡宇宙飛行士滞在中の
「きぼう」利用ミッション

有⼈宇宙技術次世代⽔再⽣技術実証システム

優れた⽇本独⾃の技術による⽔再⽣システムの軌道上実証を通して優れた⽇本独⾃の技術による⽔再⽣システムの軌道上実証を通して

JWRS(JEM Water Recovery System)とは

  • ISSでは、地上からの⽔の輸送量を減らすために、NASAの開発した⽔再⽣システムを⽤いて尿や除湿によって回収した⽔を飲料⽔に再⽣しています。
  • JAXAでは、現在 ISSで使⽤している⽔再⽣システムより、⼩型、低消費電⼒、⾼再⽣効率、メンテナンス性を向上させた次世代型⽔再⽣システムの研究開発を進めています。その⼀環として、⼩型の実証システムを開発し「きぼう」⽇本実験棟で軌道上実証を⾏っています。

本実験の意義

  • 実証システムを⽤いて実際に宇宙で⽔処理の実験を⾏うことで、地上では模擬できない微⼩重⼒環境下での各機能を確認します。
  • 地上では重⼒があるため液体と気体は分離しますが、微⼩重⼒環境では液体の中に発⽣した気泡は⽔⾯に向かわず、いつまでも液体の中に留まります。また、⽔の電気分解で発⽣する気泡は表⾯張⼒によっていつまでも電極表⾯に留まる場合もあります。このような液中に滞在する微⼩な気泡(マイクロバブル)が、⽔処理にどのような影響を与えるかを調査し、実機設計に活⽤します。
  • 次世代型⽔再⽣システムは、将来の有⼈宇宙探査において地上から運ぶ飲料⽔や消耗品を⼤幅に減らすことが可能であり、国際的な探査ミッションに貢献します。また、地上では⽔資源が限られる⼲ばつ地帯や⼭岳地帯、被災地等へ応⽤することが考えられます。
Image by JAXA
次世代⽔再⽣実証システムの軌道上実証装置外観
Image by JAXA
次世代⽔再⽣実証システムでの⽔処理フロー

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次世代水再生実証システム | 「きぼう」利用のご案内 | JAXA 有人宇宙技術部門

有⼈宇宙技術科学利⽤⽕災安全性向上に向けた固体材料の
燃焼現象に対する重⼒影響の評価

重⼒影響を考慮した世界初の材料燃焼性評価⼿法で宇宙⽕災安全性を向上させ、有⼈宇宙探査の安全・安⼼と材料選択の⾃由度拡⼤に貢献重⼒影響を考慮した世界初の材料燃焼性評価⼿法で宇宙⽕災安全性を向上させ、有⼈宇宙探査の安全・安⼼と材料選択の⾃由度拡⼤に貢献

FLARE(Fundamental Research on International Standard of Fire Safety in Space -base for safety of future manned mission-)とは

  • 世界初となる、重⼒影響を考慮した固体材料の燃焼限界評価⼿法について、軌道上実験による妥当性検証を⾏い、⽇本発の新⼿法の国際的な利⽤実現を⽬指します。
  • 1Gでは⾃然対流により発現し得ない低速の周囲流条件において、固体材料上の持続的な⽕炎燃え広がりが起こる限界酸素濃度等のデータを、様々な材料について取得します。

本実験の意義

  • 微⼩重⼒環境において、材料の燃焼性が地上と⽐べてどの程度変化するのかを、定量的に評価することが可能となります。
  • ⺠間宇宙ステーションを含め、微⼩重⼒環境で運⽤される有⼈宇宙施設や宇宙船における⽕災防⽌のための適切な材料選定基準の制定に貢献します。
  • 新⼿法は微⼩重⼒環境だけでなく、⽉⾯のような低重⼒環境での材料可燃性評価にも活⽤可能であるため、有⼈宇宙探査で使⽤される居住施設や与圧ローバ等での⽕災防⽌に向けた基準としても役⽴てることができます。
  • 新しい材料燃焼性評価⼿法は、宇宙機関のみならず⺠間での活⽤も容易であるため、⽇本製材料を含む材料選択の⾃由度拡⼤、⺠間宇宙利⽤における負担軽減につながることが期待されます。
Image by JAXA
固体燃焼実験装置 (Solid Combustion Experiment Module: SCEM)外観
(FLARE利⽤テーマで使⽤する実験装置)

軌道上実験作業

  • 「きぼう」の多⽬的実験ラックに搭載される固体燃焼実験装置(SolidCombustionExperiment Module:SCEM)を利⽤(【付録2】実験ラック参照)し、様々な材質・形状の固体材料の燃焼実験を⾏います。
  • 実験では、整流機能を持つ⾵洞部内に試料を設置し、宇宙船内環境と同等の⾮常に低流速のガス流(最⼤でも25cm/s程度)を試料と並⾏に流したうえで、試料端に電熱線で着⽕させます。
  • 試料上を燃え拡がる⽕炎の観察を⾏うとともに、燃え拡がりが起こらなくなる酸素濃度、流速条件を調べます。
  • インクリメント70では、新たに薄いアクリルや綿布に加え、難燃性繊維材料を試料として⽤い、燃焼特性データを取得します。
Image by 弘前⼤学/岐⾩⼤学/北海道⼤学/JAXA
「きぼう」での軌道上実験で取得された、薄い“ろ紙”試料上を燃え広がる⽕炎の画像

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火災安全性向上に向けた固体材料の燃焼現象に対する重力影響の評価 | 「きぼう」利用のご案内 | JAXA 有人宇宙技術部門

有⼈宇宙技術JEM船内可搬型ビデオカメラシステム実証2号機

ISS内を⾶び回る撮影ロボットで宇宙⾶⾏⼠の作業時間を軽減!ISS内を⾶び回る撮影ロボットで宇宙⾶⾏⼠の作業時間を軽減!

Int-Ball2(Internal Ball Camera2)とは?

  • Int-Ball2は地上の管制官の操作によりISS内を⾶び回り、写真や動画の撮影を宇宙⾶⾏⼠の代わりに⾏うことで、宇宙⾶⾏⼠の作業時間を⼤幅に軽減することを⽬的としています。
  • 2017年に打上げ、ISSにて無重⼒空間での姿勢・移動制御に関する基本実証を⾏ったInt-Ball初号機の後継機です。⾃動でドッキングステーションに戻り充電できることや、強い推⼒、ターゲットマーカなしでの⾃⼰位置推定が可能、などの改良を⾏っています。

本実験の意義

  • 「きぼう」⽇本実験棟内での写真・動画撮影は、宇宙⾶⾏⼠がカメラを⾃⾝で準備して実施していますが、地上からの遠隔操作によりInt-Ball2が⾏うことで、その準備や撮影に要する宇宙⾶⾏⼠の作業時間を軽減し、最終的にはゼロにすることができます。
  • 将来の有⼈宇宙活動に向けて、⾃⼰位置姿勢推定技術の船内環境(閉鎖空間・動的環境変化)への適合などの新規技術の獲得が期待されます。
Image by JAXA
Int-Ball2の地上試験の様⼦
Image by JAXA
Int-Ball2の外観

軌道上実験作業

  • 「きぼう」船内に、ドッキングステーションをクルー作業により設置後、初期チェックアウト(電源投⼊後に地上からのテレメトリデータの取得や充電、航法機能、誘導制御機能、リリース/ドッキング機能※、異常発⽣時の運⽤機能、運⽤デモンストレーション)を⾏います。
  • 地上管制員がきぼう船内のLANを経由して、Int-Ball2号機を遠隔操作し、きぼう船内での移動、クルー作業やラックフロントにおける実験装置の撮影、データ取得を⾏います。バッテリ残量が低下した場合は⾃動でドッキングステーションに戻ります。
  • 撮影対象は、きぼう船内におけるクルー作業並びに実験/システム機器で、細胞培養装置(Cell BiologyExperimentFacility:CBEF)や、静電浮遊炉(ElectrostaticLevitationFurnace:ELF)、グローブボックス、冷凍・冷蔵庫(MinusEightydegreeCelsiusLaboratoryFreezerforISS: MELFI)などを想定しています。また充電しながらの撮影も可能(パススルー機能)な為、ドッキング中に固定カメラとしての使⽤も可能です。
  • 撮影品質は、きぼう船内の4Kビデオカメラと同程度。ストリーミング配信、ビデオ録画、静⽌画撮影が可能です。
  • リリース/ドッキング機能までの確認は、古川宇宙⾶⾏⼠到着前に終了予定
Image by JAXA
JEM⾃律移動型船内カメラ(Int-Ball)
Image by JAXA
地上試験中のInt-Ball2プロトフライトモデルと古川宇宙⾶⾏⼠

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Int-Ball2が宇宙に旅立ちました! | JAXA 有人宇宙技術部門

科学利用細胞の重⼒センシング機構の解明

細胞の重⼒感受メカニズムを解明し、微⼩重⼒や寝たきりによる筋萎縮の予防に貢献する細胞の重⼒感受メカニズムを解明し、微⼩重⼒や寝たきりによる筋萎縮の予防に貢献する

Cell Gravisensing(Elucidation of gravisensingmechanism in single cells)とは

(代表研究者:⾦沢⼯業⼤学 曽我部正博教授)

  • 宇宙⽣物学において「細胞がどのように重⼒を感知するか?」は⼤きな課題です。宇宙実験により、動物細胞が単独で重⼒を感知することが明らかになってきていますが、重⼒感知メカニズムは殆ど分かっていません。
  • 本研究では、「核・ミトコンドリアに対する重⼒作⽤の消失が、相互作⽤する細胞内⾻格であるストレス線維の張⼒に影響を与える。さらに細胞内の⼩器官⾃体の機能や形態にも作⽤し、下流のシグナル系を賦活させ、細胞が重⼒環境を感知する」という仮説を実証することを⽬的とします。

本実験の意義

  • 微⼩重⼒環境下では、細胞が微⼩重⼒を感知することに端を発し、そこから、組織・個体レベルでの筋萎縮・⾻量減少へと繋がると考えられています。
  • 宇宙⾶⾏⼠に起こる筋萎縮・⾻量減少の根本となる重⼒感知(感受)メカニズムの解明は、地上での寝たきり状態での病態の予防・治療法の開発に繋がり、⾼齢化社会の問題に貢献することが期待されます。
Image by JAXA/⾦沢⼯⼤/名古屋⼤
細胞の微⼩重⼒環境の感知のモデル図

軌道上実験作業

  • 地上で準備した培養細胞を「きぼう」へ輸送したのち、そこに設置されているインキュベータ(細胞培養実験装置CellBiologyExperimentFacility:CBEF)内で、培養します。インキュベータには⼈⼯ 1G区と微⼩重⼒のµG区が備わっており、それぞれに培養細胞試料を設置し、所定の期間培養を⾏います。
  • 培養の様⼦については、「きぼう」に設置されている顕微鏡により1GとµGでの培養細胞の様⼦の違いをリアルタイムで観察します。実験終了後は、試料の保存処置を施した後、地上に回収し、さらに詳細な顕微鏡観察、また、遺伝⼦やタンパク質の発現変化について詳細に解析を⾏います。
  • 本研究は3回に分けて実施する計画で、第1回⽬は、2021年8⽉にヒトHeLa細胞を5⽇間培養、顕微鏡観察する技術実証を⾏いました。共焦点レーザー顕微鏡「ConfocalSpaceMicroscopy: COSMIC」を地上からリアルタイムで操作し、微⼩重⼒環境下においた細胞の2波⻑同時3次元イメージング観察が可能であることを確認しました。
  • 第2回⽬実施の本インクリメントでは、前述の技術を使⽤して軌道上μG/1G下における培養と顕微鏡観察、および回収標品の分⼦⽣物学的解析と画像解析を通して微⼩重⼒効果の評価を実施する予定です。
Image by JAXA
Cell Gravisensing軌道上観察実験の概略図

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細胞の重力センシング機構の解明 | 「きぼう」利用のご案内 | JAXA 有人宇宙技術部門

科学利用微⼩重⼒環境を活⽤した
⽴体臓器創出技術の開発

微⼩重⼒環境を利⽤した⽴体培養で、ヒト臓器創出に必要な要素技術を開発します。微⼩重⼒環境を利⽤した⽴体培養で、ヒト臓器創出に必要な要素技術を開発します。

Space Organogenesis(Development of advanced 3D organ culture system utilizing microgravity environment)とは

  • 宇宙空間における微⼩重⼒では沈降や対流などが無く、細胞を三次元的に展開させることにおいて有利であると考えられます。その環境を活⽤することによって、iPS細胞を⽤いたヒト器官原基創出法を発展させ、⼤⾎管を付与した⽴体臓器の創出を⽬指した基盤技術開発を⾏います。

本実験の意義

  • 宇宙実験で得られた研究結果を通じて、⼤⾎管が付与された新規ヒト臓器の作製のための技術基盤が構築され、移植医療・再⽣医療への応⽤開発が可能であると⽰すことができます。
  • 機能的なヒト臓器創出に対する宇宙環境の有効性を世界に先駆けて実証する実験であり、将来の微⼩重⼒環境を活⽤した移植医療・再⽣医療への貢献の可能性を⽰します。
  • 本実験を通して得られた技術は、再⽣医療等製品の実⽤化に必須であるヒト⽴体組織の保存技術・輸送への応⽤が期待されます。
  • 地上での臓器形成に必要な条件の抽出や、模擬微⼩重⼒環境を活⽤した新規三次元培養装置開発等のヒト臓器製造に向けた技術⾰新の加速が期待されます。
Image by 横浜市⽴⼤学/JAXA
宇宙実験の意義と微⼩重⼒の優位性

軌道上実験作業

  • 地上において、ヒト由来のiPS細胞から分化させた肝前駆細胞、⾎管内⽪細胞、間葉系幹細胞から作製した肝臓の原基となる肝芽を作製し、⾎管様構造体と共に封じ込めた培養容器を「きぼう」に打ち上げます。
  • 「きぼう」内に設置されたインキュベータ内で肝芽を所定の期間培養を⾏ったのち、地上に回収し、その成⻑の違いなどを地上で培養した対照群と⽐較し、臓器原基成⻑における重⼒の影響について解析を⾏います。
  • 2020年12⽉に実施された第1回実験では、⼤⾎管周囲への肝芽の三次元凝集技術と、⼤⾎管付与技術を確認できました。今回⾏われる第2回実験では、肝芽の⾃⼰組織化技術と、灌流培養技術を確認します。古川⾶⾏⼠滞在中には、灌流培養を⾏うために新規開発した⾃動溶液交換器具2型(T-DOCS)のチェックアウトを⾏います。
  • 実験に関する紹介映像:宇宙で躍進!「きぼう」でつなぐ⼈⼯臓器研究
    https://youtu.be/NtlXiTmi3hg
Image by JAXA
第1回実験時(2020年12⽉)筑波宇宙センターのユーザ運⽤エリアで
野⼝⾶⾏⼠の作業を⾒守る関係者
Image by JAXA
灌流培養を⾏う⾃動溶液交換器具2型(T-DOCS)
⼿順確認中の古川⾶⾏⼠
Image by 横浜市⽴⼤学/JAXA
宇宙で観察された肝芽(肝前駆細胞(緑)、⾎管内⽪細胞(⾚))

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微小重力環境を活用した立体臓器創出技術の開発 | 「きぼう」利用のご案内 | JAXA 有人宇宙技術部門

科学利用宇宙環境が精⼦幹細胞へ及ぼす影響の解析

低軌道船内環境における既知の精⼦形成異常の作⽤機序を理解し、精⼦形成異常に対するリスク評価や防御⽅法の開発につなげる。低軌道船内環境における既知の精⼦形成異常の作⽤機序を理解し、精⼦形成異常に対するリスク評価や防御⽅法の開発につなげる。

Sperm Stem Cells(Effect of space environment on fertility of spermatogonial stem cells)とは

  • 半世紀以上前から続く研究で低軌道宇宙環境下では動物実験で精⼦形成異常が知られています。
  • この現象に対して、研究代表者が世界に先駆けて樹⽴した精⼦を産⽣する精⼦幹細胞(Germline Stem Cells, GS細胞)を⽤いて原因を推定します。
  • 本実験では、国際宇宙ステーションにて⻑期凍結保管した精⼦幹細胞の性状および妊孕性を調べることで放射線の影響ついて検証します。

本実験の意義

  • 推定要因である①宇宙放射線が直接精巣や精⼦を作る雄性⽣殖細胞に作⽤する、②重⼒の雄性⽣殖細胞への影響、③動物個体のテストステロン等のホルモンの変化の中で①の影響を明らかにできます。
  • 低軌道船内環境における既知の精⼦形成異常の作⽤機序が理解を⽬指します。
  • 精⼦形成異常に対するリスク評価や防御⽅法の開発が期待されます。

軌道上実験作業

  • 冷凍した実験供試体を冷凍・冷蔵庫(Minus Eighty degree Celsius Laboratory Freezer for ISS:MELFI)に移設し、最⻑3年間冷凍保管します。実験試料は合計4回(6ヶ⽉、12ヶ⽉、24ヶ⽉、36ヶ⽉)帰還させます。
  • 放射線環境は、BioPADLESを⽤いて計測します。約6ヶ⽉に1回交換し、帰還させます。
Image by 京都大学
(Kanatsu-Shinohara et al. Biol Reprod 2003)

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宇宙環境が精子幹細胞の繁殖能力へ及ぼす影響の解析 | 「きぼう」利用のご案内 | JAXA 有人宇宙技術部門

科学利用民間利用⾼品質タンパク質結晶⽣成実験

対象ミッション名:LT PCG 10, MT PCG

疾病関連タンパク質等の⾼精度構造データの取得と将来の⺠間主体の事業実現に向けた知⾒の蓄積。疾病関連タンパク質等の⾼精度構造データの取得と将来の⺠間主体の事業実現に向けた知⾒の蓄積。

⾼品質タンパク質結晶⽣成実験(Protein Crystal Growth: PCG)の意義

タンパク質の⽴体構造の解明には⾼品質な結晶の⽣成が必要ですが、地上では対流や沈降の影響により⼗分な品質の結晶が得られない場合があります。
このため、ISSやスペースシャトル等の微⼩重⼒環境を利⽤して良質なタンパク質結晶を⽣成する実験が多数実施されてきました。これまでの実験結果から、対流の影響が抑えられ溶液の拡散により緩やかに結晶が成⻑すること、及び不純物の結晶への取り込みが抑制される効果により結晶の品質が向上すると⽰唆されています。
JAXA PCGでは、様々な疾病や環境・エネルギー問題の解決につながるタンパク質を対象に、宇宙実験で得られた良質な結晶からタンパク質の詳細な⽴体構造を解析することを⽬指しています。また、得られた詳細な⽴体構造を利⽤し、医薬品の開発や、⼯業的な利⽤など社会貢献可能な成果の創出を⽬指しています。

Image by JAXA

搭載試料について

多剤耐性菌など病原性細菌に効果のある新規抗菌薬の開発を⽬指した試料、⾼機能⾎糖値センサーの開発を⽬指した試料、がん細胞の可視化など⽣体イメージング技術に関わる試料を含む20種以上の試料を搭載予定です。

膜タンパク質の⾼品質結晶化技術の⾼度化

既存の薬物の約半数が膜タンパク質に作⽤すると⾔われており、膜タンパク質の構造は学術研究や創薬に⽋かすことができません。JAXA PCGでは独⾃の結晶化促進技術とこれまでの宇宙実験で培った技術を合わせて、膜タンパク質に適した⽀援を⾏います。国⽴研究開発法⼈⽇本医療研究開発機構(AMED)において今年度から始まる⽣命科学・創薬研究⽀援基盤事業(BINDS)の課題「疾病関連膜タンパク質の⽣産および構造解析⽀援」の分担機関としても膜タンパク質の⾼品質結晶化⽀援を提供いたします。本実験は、上記⽀援技術の⾼度化を⽬指した技術実証として位置付けられます。
疾病に関連する複数種の受容体等を搭載予定で、宇宙実験への適合性を検証するとともに、技術蓄積を進めます。

⺠間パートナーによる有償利⽤

将来の⺠間主体の宇宙事業実現に向けた施作の⼀環として、JAXA PCGでは2021年にSpace BD株式会社を⺠間パートナーとして選定しました。JAXAはSpace BD(株)に宇宙実験のノウハウについて技術移管を⾏う⼀⽅、Space BD(株)はその間、宇宙実験機会の⼀部を活⽤して独⾃の有償利⽤サービスをユーザに提供し、将来の⺠間主体の事業実現に向けた市場開拓などを実施します。本実験は⺠間パートナーによる実験利⽤の2回⽬にあたり、複数の国内外の企業・団体の実験試料が搭載される予定です。

Image by JAXA
MTPCG4で得られた膜タンパク質の結晶
Image by JAXA/NASA
実際に「きぼう」に運んだコンテナが船内の微⼩重⼒環境で浮遊している写真

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タンパク質結晶生成宇宙実験 | JAXA 有人宇宙技術部門

科学利用民間利用静電浮遊炉を使⽤した⾼精度熱物性測定

材料を浮かせて融かす ― ⾼融点材料の隠されている性質を解明する。材料を浮かせて融かす ― ⾼融点材料の隠されている性質を解明する。

静電浮遊炉(Electrostatic Levitation Furnace: ELF)の特徴

  • 静電浮遊炉は、クーロン⼒により試料を浮遊し、⾼精度に位置制御し、レーザ加熱により⾮接触で溶融・凝固することができる装置です。
  • ISSの微⼩重⼒環境を利⽤し、地上では浮遊のできない超⾼融点(2000ºC以上の)物質の熱物性計測(密度、表⾯張⼒、粘性係数)と過冷凝固による新規⾼機能物質を探索します。

ELFの成果例と運⽤状況

  • 2500 ºCを超える領域の⾼温液体の物性測定に成功し、従来の定説を覆す液体構造を発⾒しました。
    (ガラスにならない超⾼温酸化物液体が持つ特異構造−宇宙・地上での実験と⼤規模理論計算・先端数学の連携による発⾒− https://www.jaxa.jp/press/2020/06/20200602-1_j.html 、⽇経産業新聞等の複数のメディアに掲載)
  • 国内の研究機関、企業と連携し、材料科学、地球科学、宇宙⼯学等様々な分野の実験プロジェクトを進⾏中です。
  • ⽇⽶協⼒でのISS実験装置の相互利⽤を促進するプログラム(JP-US OP3)に基づき、NASAとの協⼒で2020年から、⽶国研究機関の実験も進⾏中です。→地上では不可能だった超⾼温領域の物性測定技術が⽶国の科学技術にも貢献しています。
Image by JAXA
ELFの外観図
Image by JAXA
ELF内で⾼温液体酸化物が浮遊する様⼦:
帯電した試料と周囲の電極間に働くクーロン⼒を利⽤して試料の浮遊・位置制御が⾏われる。

古川宇宙⾶⾏⼠ISS⻑期滞在中に実施予定のELF実験(抜粋)

  • A) 実験テーマ「Resonance Induced Instability for Surface Tension determination(RIIST)」
    (研究代表者:フロリダ⼤学Ranga Narayanan教授)
    • 流体(⾦属液体)の共振現象を測定し、表⾯張⼒との関係を明らかにします。
    • NASAやJAXA地上設備で先⾏実験が実施されています。ELFでは地上では測定困難な超⾼温⾦属材料を扱い、⾼精度の物性測定を実施します。
  • B)実験テーマ 「Microgravity Investigation of Thermophysical Properties of Supercooled Molten Metal Oxides(Super glass)」
    (研究代表者:⽶国MDI社Richard Weber博⼠)
    • 酸化物(ガラス)の液体状態の熱物性値(密度、表⾯張⼒、粘性係数)を精密に測定します。
    • ガラスの⽣成過程と構造の関係を解明し、得られたデータをもとに地上でより良い性能を持つガラスを⽣成することを⽬指します。
  • C)実験テーマ「静電浮遊法を⽤いた鉄鋼精錬プロセスの基礎研究〜⾼温融体の熱物性と界⾯現象~(Interfacial Energy)」
    (研究代表者:学習院⼤学渡邉匡⼈教授)
    • 鉄鋼精錬過程で⽣じるスラグ(酸化物)に内包された鉄融体試料の界⾯張⼒やスラグの熱物性を取得し、界⾯での振動現象を直接観察します。
    • 鋼材の均質性劣化を招く精錬中に発⽣する振動流の原因を特定し、鉄鋼⽣産プロセスの改善に貢献します。
  • D)実験テーマ「静電浮遊炉技術実証(ELF TechDemo)」
    (研究代表者:宇宙科学研究所⽯川毅彦教授)
    • 地上では浮遊させることが困難な⾼融点酸化物(融点2000 ºC以上)の密度、表⾯張⼒、粘性係数を測定します。
    • ⾼温融体の熱物性データは、鋳造、溶接など液体状態を⽤いるシミュレーションの精度・信頼性向上に貢献します。
  • E)有償利⽤制度による実験
    • ⽇本国内の⺠間企業、もしくは企業と連携のある⼤学・公的研究機関などに所属している⽅に、静電浮遊炉を利⽤した⾼精度熱物性測定を有償で提供します。

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静電浮遊炉(ELF)を使用した高精度熱物性測定 | 「きぼう」利用のご案内 | JAXA 有人宇宙技術部門

国際協⼒・⼈材育成第4回
「きぼう」ロボットプログラミング競技会

ロボットプログラミング競技会「きぼう」アジア利⽤拡⼤をめざす。ロボットプログラミング競技会を通じ、次世代⼈材育成と「きぼう」アジア利⽤拡⼤をめざす。

Kibo-RPC(Kibo Robot Programming Challenge)とは

  • アジア・太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF)のKibo-ABC※イニシアチブにおける多国参加型ミッションの1つで、「きぼう」船内のドローンロボットをプログラミングして様々な課題を解決し、将来の技術者を育成する国際競技会です。
  • ⽇⽶オープン・プラットフォーム・パートナーシップ・プログラム(JP-US OP3)を通じた⽇⽶協⼒のもと、NASAの協⼒を得てJAXAが主催しています。

本競技会の意義

  • アジア・太平洋地域を中⼼とした世界各国・地域の学⽣に対して宇宙でのロボット操作やコンピュータプログラミングに関する教育機会を提供しており、参加者はプログラム作成を通して、科学、技術、⼯学、数学のスキルを磨くことができます。
  • また、世界各国・地域からの参加者同⼠で国・地域を超えた交流を⾏うことで、グローバル⼈材としての能⼒を⾝につけることができます。
  • Kibo-ABCは、アジア・太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF)に設置されたイニシアティブで、アジア・太平洋地域における「きぼう」利⽤の推進と、「きぼう」の価値共有を⽬的としています。多国参加型プロジェクトによる宇宙環境利⽤の理解増進と各宇宙機関の経験蓄積、これらを通じた⽇本との⼆国間協⼒プロジェクトの創出を⽬指します。
Image by JAXA/NASA
第3回Kibo-RPCに参加した若⽥宇宙⾶⾏⼠とNASAのAstrobee
Image by JAXA
第3回Kibo-RPCで優勝した台湾チーム

第4回Kibo-RPCの概要

  • 「きぼう」船内をゲーム空間に⾒⽴てISS船内ドローン※1を動かすプログラムを作成し※2、与えられた課題をクリアしながら、ISSクルーにミッション完了を報告するまでの時間や課題対応⼒について競います
  • 第4回Kibo-RPCでは、国連宇宙部(UNOOSA)との協⼒により、国連加盟国※3の学⽣にも参加機会を提供できるようになりました。その結果、 30の国・地域から、421チーム、1685⼈が参加応募しています。
    参加国・地域:オーストラリア、バングラデシュ、インドネシア、⽇本、マレーシア、ネパール、ニュージーランド、シンガポール、台湾、タイ、アメリカ、ベトナムをはじめとする30の国・地域
  • 競技会は2段階で実施されます。
    • 各国・地域の予選:JAXAが提供する地上のシミュレータを使⽤し、各国・地域内で実施
    • 軌道上決勝⼤会:予選を勝ち抜いたチームが、「きぼう(軌道上)」内でISS船内ドローンを動かし、優勝者を決定
  • ⽇本からは27チームが参加しています!
    ⽇本国内予選および軌道上決勝⼤会の様⼦はYouTubeにて配信しますので是⾮ご覧ください。
    ⽇本国内予選:7⽉8⽇(⼟) 13:00〜(アーカイブ配信中)https://youtube.com/live/ax4H1NBqTz0
    軌道上決勝⼤会:10⽉中旬頃を予定
  • ※1ISS船内ドローンとは宇宙⾶⾏⼠の作業(写真撮影など)の代替・⽀援を⽬指す⾃律⾶⾏型のロボット(写真撮影など)のことです。
  • ※2参加者はJAXAとNASAが提供するプログラム開発環境を利⽤して、ISS船内ドローンが⾃律的に動作するプログラムを作成します。
  • ※3国連が発⾏するWorld Economic and Situation Prospects 2023 における国別分類のうち、”developing economies”または”economies in transition”に分類される国が対象となります。
Image by JAXA/NASA
第3回Kibo-RPCにて競技中のAstrobeeを⾒守る参加者の様⼦
Image by JAXA

詳しくはこちらをご覧ください
「きぼう」ロボットプログラミング競技会(Kibo-RPC) | JAXA 有人宇宙技術部門

国際協⼒・⼈材育成アジアントライゼロG 2023

アジア・太平洋地域の⻘少年が考えた宇宙実験を「きぼう」でトライ!アジア・太平洋地域の⻘少年が考えた宇宙実験を「きぼう」でトライ!

アジアントライゼロG(Asian Try Zero G)とは

  • アジア・太平洋地域宇宙機関会議(Asia-Pacific Regional Space Agency Forum: APRSAF)のKibo-ABCイニシアチブにおける多国参加型ミッションの1つです。
  • アジア・太平洋地域における宇宙環境利⽤の普及を図るため、軌道上での簡易実験アイデアを⽇本を含むアジア各国・地域の⻘少年を対象に募集し、選定された実験をISS⻑期滞在の宇宙⾶⾏⼠が「きぼう」で⾏うプログラムです。

本ミッションの意義

  • アジア・太平洋地域の⻘少年を対象とした国際協⼒プロジェクトとして、⽇本のみならず、アジアの学⽣に宇宙実験の機会を提供した⼈材育成プログラムとしてSDGsへ貢献します。
  • アジア諸国・地域にて募集・選定された簡易実験を、「きぼう」で実施することにより、アジア諸国・地域の「きぼう」および宇宙環境利⽤への興味・関⼼の喚起と、アジア宇宙機関の宇宙実験実施プロセスの理解・習得が期待されます。
  • 軌道上実験実施⽇および成果報告会に、各国・地域からの参加者同⼠での実験の発表等を実施することにより、英語でのプレゼン⼒や論理的思考、分析⼒などの能⼒を養い、グローバル⼈材の育成に貢献します。
Image by JAXA
軌道上の実験に⽴ち会うために 集まったアジアの実験提案者
および宇宙機関の担当者たち
Image by JAXA
アジアントライゼロG 2022 ⽇本の学⽣の提案した実験を実施する若⽥⾶⾏⼠

アジアントライゼロG 2023の概要

  • アジア・太平洋地域のKibo-ABCイニシアチブ加盟国内で参加表明した国・地域の宇宙機関が、それぞれの国・地域内で学⽣からの簡易宇宙実験案のアイデア募集と⼀次選定を⾏います。その後、参加機関が集まって最終選考を⾏い、選定された実験テーマを、軌道上の⽇本⼈宇宙⾶⾏⼠により「きぼう」⽇本実験棟内にて実施します。
  • 第1回⽬のアジアントライゼロGは2011年に古川⾶⾏⼠により実施し、第8回⽬の今年も古川⾶⾏⼠により実施します。過去の実績は、2011年古川⾶⾏⼠, 2012年星出⾶⾏⼠, 2014年若⽥⾶⾏⼠,2015年油井⾶⾏⼠, 2016年⼤⻄⾶⾏⼠, 2018年⾦井⾶⾏⼠, 2022年若⽥⾶⾏⼠により実施しました。
  • 通常は簡易物理実験のアイデア(分野A)を募集していますが、今回は、これに加えてエクササイズになり得る動きや姿勢(分野B)を募集しました。⽇本では分野Aが11件、分野Bが13件、合計24件の応募がありました。参加国・地域の総計は、分野Aが171件、分野B が74件の合計 245件です。
  • 今年のアジアントライゼロGは、過去最多の9か国・地域※が参加しています。2023年6⽉に各国・地域で⼀次選考、7⽉中旬に参加機関全員での最終選考を⾏い、軌道上実験は冬に予定をしています。2024年3⽉には学⽣による成果報告会も予定しています。
  • アジアントライゼロG 2023参加国・地域(ABC順): オーストラリア、バングラデシュ、インドネシア、⽇本、ネパール、フィリピン、シンガポール、台湾、タイ
Image by JAXA/NASA
アジアントライゼロG 2022 タイの学⽣が提案した実験を実施する若⽥⾶⾏⼠
Image by JAXA
アジアントライゼロG実験を⾒守る学⽣たちと⼤⻄⾶⾏⼠

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アジアントライゼロG | JAXA 有人宇宙技術部門

⺠間利⽤国際協⼒・⼈材育成超⼩型衛星放出ミッション

「きぼう」だけが持つ機能!エアロックとロボットアームの連携で超⼩型衛星放出ニーズに応える「きぼう」だけが持つ機能!エアロックとロボットアームの連携で超⼩型衛星放出ニーズに応える

⼩型衛星放出機構(JEM Small Satellite Orbital Deployer: J-SSOD)とは

  • ISSのモジュールで唯⼀、エアロックとロボットアームの両⽅をあわせ持つ「きぼう」⽇本実験棟の機能を活⽤し、ISSから超⼩型衛星を放出します。超⼩型衛星放出事業を⾏う⺠間事業者(以下、事業者)を通じた超⼩型衛星や、国際協⼒に資する超⼩型衛星等を放出します。
  • インクリメント70では、国内⼤学、衛星放出事業者の衛星など、多彩な放出が計画されています。
  • また、インクリメント64より使⽤を開始したJ-SSOD-Rは従来のJ-SSODより放出能⼒が⾶躍的(4倍)に向上・軌道上再使⽤も可能となり、打上げ重量とコストが低減されました。J-SSOD-Rを軸として⼩型衛星事業の更なる利⽤拡⼤を促進していきます。

本ミッションの意義

  • 近年、世界中で活発に開発・利⽤が進められている超⼩型衛星の打上げ機会確保のニーズに応えるものであり、国際的な協調関係の維持・強化や技術実証・教育機会、また事業者が主体的に提供する利⽤サービスを通じたビジネス機会の創出により、社会・経済の発展に寄与する効果があります。
  • ⾃国初の⼈⼯衛星開発を⽀援するなど、宇宙開発途上国の宇宙技術の発展と⼈材育成
    に貢献します。
Image by JAXA
超⼩型衛星の放出(2019年6⽉)
Image by JAXA
放出成功を喜ぶ関係者(2019年6⽉)

今後の放出予定

衛星名[サイズ] 開発機関 備考/ミッション概要
BEAK[3U×1基] 東京⼤学
  • エアロシェル分離に伴うドラッグモジュレーションによる軌道変更の実証
  • 形状記憶合⾦型の柔軟エアロシェルの展開実証
  • 超⼩型衛星⽤スラスタによる軌道制御実験
Clark sat-1 クラーク記念国際⾼校、東京⼤学 事業者衛星

事業者衛星とは
2018年5⽉、JAXAは、「きぼう」の利⽤事業について、⺠間等による事業⾃⽴化を⽬指し、超⼩型衛星放出事業の⺠間事業者を選定しました。超⼩型衛星の市場は今後も世界的な拡⼤が⾒込まれており、⺠間事業者ならではのアイデアにより、国内外に広く独⾃のサービスを提供することで、更なる超⼩型衛星放出の利⽤需要を拡⼤し、「きぼう」を含む地球低軌道利⽤の発展につなげていく計画です。(超⼩型衛星放出事業者)
三井物産エアロスペース株式会社
Space BD株式会社

Image by JAXA
⼩型衛星放出機構(J-SSOD)
Image by JAXA
⼩型衛星放出機構(J-SSOD-R)

詳しくはこちらをご覧ください
小型衛星放出機構(J-SSOD) | JAXA 有人宇宙技術部門

⺠間利⽤中型曝露実験アダプタを利⽤した
船外曝露実験

「きぼう」の船外利⽤をより⾝近に。「きぼう」の船外利⽤をより⾝近に。

中型曝露実験アダプタ(IVA-replaceable Small Exposed Experiment Platform: i-SEEP)とは

  • 「きぼう」船外実験ポートに取りつけ、50㎝×70cm×35cm、200㎏以下の実験装置を複数機搭載することが可能なモジュールで、実験装置に電⼒や通信環境を提供できるインターフェースを備えています。
  • i-SEEPの拡張機能として、CubeSatサイズの実験装置を搭載することができる⼩型ペイロード搭載⽀援装置(Small Payload Support Equipment: SPySE)も開発され、i-SEEPと共に、サービス提供が開始されています。
  • 「きぼう」船外における軌道上利⽤拡⼤を促進するため、利⽤サービスの提供事業者(SpaceBD(株))を選定し、事業者ペイロードの運⽤を実施しており、SPySEに搭載可能な簡易材料曝露実験ブラケット(Exposed Experiment Bracket Attached on i-SEEP: ExBAS)での材料曝露実験も実施中です。
  • 外部運⽤システム(Remote Operation and Control Services: ROCS)も導⼊されており、ペイロード運⽤者が、JAXA外部の⾃前の運⽤室から運⽤ができるシステムを⽤いた運⽤が可能です。
Image by JAXA
i-SEEP(ペイロード搭載前)
Image by JAXA
i-SEEP(複数のペイロード搭載後のイメージ)

i-SEEPの意義

「きぼう」の船外実験ポートに搭載可能なペイロードサイズのバリエーションを増やし、利⽤者の利便性を向上させます。また、1つのポートで⽬的の異なる複数のミッションの同時並⾏利⽤が可能となります。さらに、事業者の利⽤サービス提供を通じて、事業者及びサービス提供を受けたエンドユーザ双⽅の宇宙ビジネス創出機会を促進し、社会・経済の発展に寄与する効果があります。

古川宇宙⾶⾏⼠ISS⻑期滞在中のミッション予定

i-SEEP1
ペイロード名称 開発機関 (提供事業者) 備考/ミッション概要
HDTV-EF2 JAXA 地球の映像を取得できる次世代ハイビジョンカメラ。地球の映像を取得できる次世代ハイビジョンカメラ。超⼩型衛星放出時、宇宙船のISS到着時、台⾵の⽇本列島接近時等に撮影する。映像取得を通じた⺠間ビジネスの創出にも貢献します。
SeCRETS スカパーJSAT株式会社、国⽴研究開発法⼈情報通信研究機構(NICT)、株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所、次世代宇宙システム技術研究組合(NeSTRA) (SpaceBD) <国際宇宙ステーション - 地上局間の⾼秘匿光通信の実証>軌道上-地上間の光通信を利⽤した物理層暗号プロトコルによる秘密鍵(乱数)共有の実証プロジェクトです。宇宙空間からの⾃由空間光通信により、光ファイバーを⽤いた鍵配布よりも遠い地点間での鍵共有が可能となります。
i-SEEP2
ペイロード名称 開発機関 (提供事業者) 備考/ミッション概要
ExBAS#1-3 SpaceBD 材料曝露実験【参考】ExBAS#1-2ミッション
https://space-bd.com/news/20220622.php
Space As-LIB JAXA-⽇⽴造船(共同研究) 全固体電池の技術実証
https://www.jaxa.jp/press/2022/08/20220805-1_j.html
Image by SeCRETSプロジェクトチーム
⾼秘匿光通信の実証(SeCRETS)ミッションのイメージ
Image by JAXA/NASA
i-SEEP2(全固体電池を搭載)

詳しくはこちらをご覧ください
中型曝露実験アダプタ(i-SEEP)による船外利用 | 「きぼう」利用のご案内 | JAXA 有人宇宙技術部門

軌道上イベント・映像アーカイブ

古川宇宙飛行士は、2023年8月から2024年3月までの約7か月間にわたり、交信イベントや宇宙ならではの映像撮影など、宇宙での活動の様子を地上に届けました。

【Crew-7】古川宇宙飛行士 打上げ生中継

【Crew-7】古川宇宙飛行士 ISS到着生中継

古川宇宙飛行士ISS長期滞在ミッション概論~ISS宇宙実験のリアル~

【2030年代 人類は月に住む】JAXAと民間企業の宇宙ビジネス最前線/古川宇宙飛行士が生出演/地球の産業は全て宇宙で必要な産業になる/月滞在を見据えた食料供給システム/水・空気を再生する環境制御技術

【ISSリアルタイム交信】古川宇宙飛行士にプレゼン!宇宙好き大学生の『推しミッション』

古川聡宇宙飛行士のISS交信(VIPコール)

【ISSリアルタイム交信】スペースJAPAN特別企画「超小型衛星ミッションに挑む!古川宇宙飛行士×学生トークセッション」

【ISSリアルタイム交信】スペースJAPAN特別企画「古川宇宙飛行士に挑戦!高校生スペースクイズ」

【ISSリアルタイム交信】宇宙好きキッズ大集合!古川宇宙飛行士と宇宙の未来を熱く語ろう!!

【Crew-7】古川聡宇宙飛行士 帰還生中継

JAXA 有人宇宙技術部門 Humans in Space人類の
未知への挑戦を。