Report & News大西宇宙飛行士の活動レポート&ニュース

大西宇宙飛行士 軌道上活動レポート Vol.11(7/28〜8/8)

この期間では、油井亀美也宇宙飛行士が国際宇宙ステーション(ISS)に到着し、大西卓哉宇宙飛行士と再会しました。その再会もつかの間、大西宇宙飛行士は長期滞在ミッションを終え、地上に帰還しました。
それでは、この期間で行われた大西卓哉宇宙飛行士の活動の一部を紹介します。

7月29日、JAXAとドイツ航空宇宙センター(DLR)が連携した実証ミッション「ICHIBAN※1」のデモンストレーションを、大西宇宙飛行士が実施。欧州の「コロンバス」モジュールで、大西宇宙飛行士が欧州のロボットCIMON※2 に音声で指示を出し、その指示をCIMONが「きぼう」にいるJEM船内可搬型ビデオカメラシステム実証2号機(Int-Ball2)に伝え、Int-Ball2が指示通りに作業をします。大西宇宙飛行士は、Int-Ball2が撮影した映像と位置情報データを受け取り、指示通りの作業ができているかを確認しました。Int-Ball2が撮影した映像と位置情報データは、30日に地上へダウンリンクされました。

別機関で独立に開発されたロボット同士が、軌道上で相互通信と共同作業を行うのは世界初の成果です。この実証実験の詳しい内容は下記のリンクを参照ください。

※1 Cooperation regarding the IntBall-2 CIMON Hovering Intelligences Building first AI Networkの略
※2 Crew Interactive Mobile Companionの略

7月31日、大西宇宙飛行士がICHIBANについてSNSに投稿しました。このミッションで、大西宇宙飛行士らがISSで担った役割について、解説した投稿もありますので、ご興味のある方は、ぜひご覧ください。大西宇宙飛行士X(1)大西宇宙飛行士X(2)

また、7月31日には、筑波宇宙センターの「きぼう」運用管制室と接続し、オンライン会議が開催され、大西宇宙飛行士がISSから出席しました。日本人宇宙飛行士がISSに長期滞在する間は、週1回の頻度で地上の「きぼう」運用管制チームとの会議を実施しますが、大西宇宙飛行士のミッションでは今回が最後の会議です。大西宇宙飛行士は、地上の管制チームに感謝の言葉を述べました。

8月1日、細胞培養装置追加実験エリア(CBEF-L)で炭酸ガス(CO2)が漏れるトラブルがあり、地上のスタッフと協力して、その対応をしました。

8月2日0時43分、油井宇宙飛行士らが搭乗するクルードラゴン宇宙船運用11号機(Crew-11)が、米国フロリダ州 ケネディ宇宙センターから打ち上げられました。

この日の15時27分にCrew-11がISSへドッキングし、16時46分にISSとの間のハッチが開き、油井宇宙飛行士らCrew-11のクルーがISSに移りました。その後、大西宇宙飛行士をはじめ、ISSに滞在していたメンバーがCrew-11の到着を歓迎するセレモニーを開きました。大西宇宙飛行士もSNSにCrew-11の到着を歓迎する投稿をしました。大西宇宙飛行士X

SpaceX Crew-11のウェルカムセレモニーの様子(Image by JAXA/NASA)

8月4日、報道関係者向けに大西宇宙飛行士と油井宇宙飛行士の引き継ぎ式と軌道上記者会見が実施されました。引き継ぎ式では、2人のミッションロゴがつけられたタスキを大西宇宙飛行士から油井宇宙飛行士に手渡し、ISS長期滞在ミッションでのアドバイスもしました。続く記者会見では、「2人で一緒にやりたいこと」や「2人にとってISSはどのような存在か」といった質問がありました。

この日は大西宇宙飛行士と油井宇宙飛行士のビデオメッセージの撮影もありました。今回は、地上からInt-Ball2を操作し、撮影のサポートをしています。また、それぞれのミッションの合間を縫って、大西宇宙飛行士から油井宇宙飛行士へ科学実験などについての引き継ぎも行われました。大西宇宙飛行士X

「きぼう」で記念撮影を行う大西、油井両宇宙飛行士(Image by JAXA/NASA)

8月5日、ISS船長(コマンダー)の交代式が行われ、ISS船長の任を大西宇宙飛行士からロシアのセルゲイ・リジコフ宇宙飛行士に交代しました。ISS船長の交代と前後して、Crew-11で新しいクルーを含めてISSの安全についての情報共有を実施し、クルードラゴン宇宙船運用10号機(Crew-10)がISSを離脱するまでの間の役割分担を明確にしました。大西宇宙飛行士X

船長交代式を行う大西宇宙飛行士らISS第73次長期滞在クルー(Image by JAXA/NASA)

この日は、大西宇宙飛行士が有名なアニメの名ゼリフを引用した投稿をSNSにしたところ、たくさんの反響がありました。大西宇宙飛行士X

地球を眺める大西宇宙飛行士(Image by JAXA/NASA)

8月6日、大西宇宙飛行士が前日に行われたISS船長の交代式についてSNSに投稿しました。大西宇宙飛行士とリジコフ宇宙飛行士ががっちりと握手する写真が添えられており、大西宇宙飛行士の表情からはISS船長の大役を果たした達成感が伺えます。大西宇宙飛行士X

8月7日、Crew-10のISS離脱を目前にひかえ、大西宇宙飛行士は「きぼう」船内に自身のミッションロゴを貼り、サインをしました。大西宇宙飛行士X

ミッションパッチにサインをする大西宇宙飛行士(Image by JAXA/NASA)

また、大西宇宙飛行士と油井宇宙飛行士が共同で実施していたフォトコンテストの結果を油井宇宙飛行士がSNSで発表しました。気になる結果は、下記のリンクからご確認ください。

8月9日7時15分、大西宇宙飛行士らを乗せたCrew-10がISSから離脱し、地球へ向かいました。これによりISSは再び7名体制となりました。

Crew-10のISS離脱に際し、大西宇宙飛行士はSNSを更新し、ISS滞在中に応援や支援してくださった方々や地上の運用チームに感謝の言葉を述べました。大西宇宙飛行士X

「きぼう」内で浮遊する大西宇宙飛行士(Image by JAXA/NASA)

Crew-10がISSから離脱する様子は、写真をたくさん使ったレポートにまとめられています。下記のリンクからご覧ください。

8月10日0時33分、大西宇宙飛行士らが乗ったCrew-10が米国カリフォルニア州サンディエゴ沖に着水し、地球に帰還しました。Crew-10は回収船のクレーンで海上から引き揚げられました。大西宇宙飛行士は、スタッフにサポートされてCrew-10から退出し、元気そうな姿を見せました。

Crew-10から退出する大西宇宙飛行士(Image by JAXA/NASA)

ISSから地球に戻ったCrew-10の着水する様子と大西宇宙飛行士がCrew-10から退出する様子のレポートがそれぞれ記事にまとめられていますので、下記のリンクからご覧ください。

Crew-10の着水から、搭乗している宇宙飛行士が退出するまでの動画がJAXAイベントライブ配信専用チャンネルでアーカイブ配信されています。

ほぼ重力のないISSから重力のある地上に戻ってきた大西宇宙飛行士は、現在、重力のある状態で日常生活を送れるようにリハビリをしています。その様子は大西宇宙飛行士のX、Instagramで発信されています。

大西宇宙飛行士の軌道上活動レポートは今回で最後となります。
長い間ご覧いただき、ありがとうございました。

帰還後の活動も、当特設サイトにて引き続きレポートいたします!
ぜひチェックしてください。

※本文中の日時は全て日本時間

JAXA 有人宇宙技術部門 Humans in Space人類の
未知への挑戦を。

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