大西宇宙飛行士 軌道上活動レポート Vol.5(5/7〜5/18)
大西卓哉宇宙飛行士は、「きぼう」日本実験棟での実験を着実に進めています。通信技術が発展したことで、宇宙にいながらもたくさんの人たちと交流できるようになりました。宇宙と地上でさらに情報共有しやすくなるシステムの開発も進んでいます。
それでは、この期間で行われた大西卓哉宇宙飛行士の活動の一部を紹介します。
5月7日、筑波宇宙センターの「きぼう」運用管制室と接続し、オンライン会議を実施しました。このオンライン会議は週に1回実施され、その週に実施されるJAXA関連の作業について、地上運用チームからの説明や調整などが行われます。大西宇宙飛行士と日本語で打ち合わせができる貴重な機会です。
この日は、「細胞の重力センシング機構の解明(Elucidation of gravisensing mechanism in single cells: Cell Gravisensing)」実験の後片づけの一環として、ライブイメージングシステム(Confocal Space Microscopy: COSMIC)のカバー取り付けなどを行いました。
5月10日、東京で開催されたイベント「SusHi Tech Tokyo 2025」の会場とISSをつなぐリアルタイム交信イベントが開催されました。大西宇宙飛行士は、会場からの質問に答え、「きぼう」船内の機器などの紹介をし、会場の人たちと交流しました。詳細はこちらです。
「SusHi Tech Tokyo 2025」で、大西宇宙飛行士との交信イベントを開催しました!

5月11日、「火災安全性向上に向けた固体材料の燃焼現象に対する重力影響の評価(Fundamental Research on International Standard of Fire Safety in Space -base for safety of future manned mission-: FLARE)」実験の準備の一環として、固体燃焼実験装置(Solid Combustion Experiment Module: SCEM)のガスボトル配管のバルブを開けました。
この日、大西宇宙飛行士が宇宙ならではの現象についてSNSに投稿しています。
「宇宙では、地上で目立たない力が顕在化しますが、その1番視覚的にわかりやすい例が液体のように思います。映像は普通の水ですが、ここでは表面張力が顕在化して、なるべく表面積の小さい球体になろうとします。ISSは、こういった地上では観察しづらいものを観察するのに適しています。」大西宇宙飛行士X(Twitter)
重力がほとんどない宇宙空間だからこそ、液体の表面張力をわかりやすい形で見ることができますね。
5月13日、前日に引き続き、FLARE実験の準備作業として、SCEMに取り付けられている試料を交換しました。FLAER実験は、微小重力空間で様々な材料を燃やし、その燃え広がり方のデータを取得して、国際的な安全評価基準の構築・制定に貢献しようとしています。実験が安全に実施できるように一歩ずつ着実に準備を進めています。

5月14日、JEM船内可搬型ビデオカメラシステム実証2号機(Internal Ball Camera2: Int-Ball2)の実証試験に備え、機能確認を行いました。
5月15日、静電浮遊炉(Electrostatic Levitation Furnace: ELF)の試料ホルダ交換を行いました。大西宇宙飛行士が作業をする様子をInt-Ball2が撮影し、地上へ送りました。
この様子は、大西宇宙飛行士とJAXAきぼう利用ネットワークがSNSで紹介しています。
「昨日は静電浮遊炉ELFのサンプル交換と炉内の清掃を行いました。 ELFはサンプルをレーザーで2,000度以上の高温まで熱して融かすので、炉内には割と煤が溜まります。定期的にテープで煤を取り除いてやる必要があります。 真横でInt-Ball2から熱い視線を送られるなか、作業しました😁」大西宇宙飛行士X(Twitter)
「\👀#IntBall2 はこちらを見ている…!/
材料系の実験は地上からの操作で行いますが、試料の交換やメンテナンスは宇宙飛行士が行います。おかげで静電浮遊炉🧚ELF炉内のすすもピカピカ!次の実験に備えます✨
Int-Ball2も作業を見守り、地上に映像を送るサポートをしました🤖」JAXAきぼう利用ネットワークX(Twitter)

5月16日、「きぼう」の共通ガス供給装置(JEM Common Gas Support Equipment: CGSE)からELFなどの実験機器にアルゴンガスを供給するバルブを閉じました。
今回のレポートはここまでです。
次回のレポートは、6月上旬を予定しています。
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