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古川宇宙飛行士 軌道上活動レポート Vol.13(2/19〜3/3)

2023年8月から始まった古川聡宇宙飛行士の国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在も終盤、この期間中は、古川宇宙飛行士らと交代となるCrew-8クルーの到着も予定されていました。それでは、古川宇宙飛行士の活動の一部を紹介します。

2月19日、古川宇宙飛行士が静電浮遊炉(Electrostatic Levitation Furnace: ELF)のガスボトルの元栓を開けた後、地上から操作し、ELF実験を開始しました。今回は、日本と米国で実験装置の相互利用などを促進するプログラムに基づき、米国の研究者が提案したガラスの液体状態の物性値を精密に測定する実験(Microgravity Investigation of Thermophysical Properties of Supercooled Molten Metal Oxides: Super glass)を実施しています。

2月20日、ISSに無人補給機が接近した際に無線通信を行う近傍通信システム(Proximity Communication System:PROX)の電源を古川宇宙飛行士がオンにし、地上から点検を行いました。これは、ISSに物資を運ぶ補給機「こうのとり」(2020年に運用終了)に使用していたシステムで、その後継機であるHTV-Xが、ISSに接近・離脱する際に使用するものです。今後予定されるHTV-X1号機の運用に向けて準備を行っています。

また、この日は古川宇宙飛行士がメディアに向けて軌道上記者会見を行いました。軌道上記者会見の様子は、YouTubeアーカイブ動画にて配信中です。見逃された方は、ぜひご覧ください。

記者会見に臨む古川宇宙飛行士(Image by JAXA)

2月21日、 JEM船内可搬型ビデオカメラシステム実証2号機(Internal Ball Camera2: Int-Ball2)の機能確認を行いました。

2月22日、古川宇宙飛行士がジャスミン・モグベリ宇宙飛行士と連携して、「きぼう」エアロックのスライドテーブルから親アーム先端取付型実験プラットフォーム(Multi-Purpose Experiment Platform: MPEP)を取り外し、JOTI(JEM ORU Transfer Interface)を取り付けました。JOTIはNASAが開発した「きぼう」エアロック用プラットフォームで、NASAの実験装置を「きぼう」エアロックに取り付けるために使います。

「きぼう」エアロックのスライドテーブルからMPEPを取り外す古川宇宙飛行士 (Image by JAXA/NASA)

2月24日午前9時21分に、プログレスMS-26補給船(87P)のスラスタを使用して、ISSのリブースト(軌道上昇)を実施しました。ISSの軌道付近には、薄いながら大気があり、その影響で高度が次第に落ちてきます。そのため、時々このようにリブーストを行い、高度を修正するのです。また、ロシアの宇宙船の到着・帰還時に高度を変更することもあります。

2月26日、古川宇宙飛行士が、ELFのガスボトルの元栓を開けた後、地上からの操作によってELF実験(Superglass)を再開しました。

2月27日、古川宇宙飛行士は、「微⼩重⼒環境を活⽤した⽴体臓器創出技術の開発(Development of advanced 3D organ culture system utilizing microgravity environment: Space Organogenesis)」実験開始前の機能確認をするための準備作業をしました。また、地上と連携して、Int-Ball2がドッキングポートから離脱して、撮影を行う一連の操作を確認しました。

2月28日、メンテナンス作業の一環として、エアロック熱交換器の交換作業などを行いました。

2月29日、Superglass実験終了後、古川宇宙飛行士がELFのガスボトルの元栓を閉めました。次回のSuperglass実験は3月開始予定です。

3月3日、この日に予定されていたクルードラゴン宇宙船運用8号機(Crew-8)の打ち上げは、悪天候予報のため3月4日12時53分に延期されました。(予定通り、3月4日に打ち上げられました。その様子は次回のレポートでお知らせします。)

最後に古川宇宙飛行士のSNS投稿を紹介します。

「Thanks for cutting my hair, Jaws! 同僚のMoghbeli飛行士にお願いし、ISSで散髪してもらいました。無重力では、切った髪の毛が飛び散らないよう、バリカンに掃除機をつなげて実施します。」(古川宇宙飛行士X(Twitter)

今回のレポートはここまでです。次回のレポートは3月21日(木)頃を予定しておりますが、古川宇宙飛行士の帰還スケジュールにより変更となる可能性もあります。

※本文中の日時は全て日本時間

JAXA 有人宇宙技術部門 Humans in Space人類の
未知への挑戦を。