古川宇宙飛行士 軌道上活動レポート Vol.1（8/26〜9/8）

8月26日16時27分（日本時間）に米国フロリダ州ケネディ宇宙センターから、古川聡宇宙飛行士を乗せたクルードラゴン宇宙船運用7号機（Crew−7）が打ち上げられました。その後、順調に飛行を続け、翌27日に国際宇宙ステーション（ISS）にドッキングしました。23時58分ごろにCrew−7とISSの間のハッチが開かれ、古川宇宙飛行士がISSへ入室し、長期滞在がスタートしました。古川宇宙飛行士到着後、ISSは総勢11人の大所帯となりました。

これから約半年間、古川宇宙飛行士は ISSに滞在し、仲間のクルーとともに、たくさんの業務を行います。古川宇宙飛行士、そして「きぼう」日本実験棟内での活動について、その一部をご紹介していきます。

8月28日、筑波宇宙センターの「きぼう」運用管制室と接続し、オンライン会議に出席しました。日本人宇宙飛行士がISSに長期滞在する間は、週1回の頻度で地上の「きぼう」運用管制チームと会議を行い、その週に実施されるJAXA関連の作業について確認します。今回は古川宇宙飛行士の滞在が始まって初の会議となり、長期滞在を支えるチームが本格的に始動しました。

同じく28日には、ウォーレン・ホーバーグ宇宙飛行士が中型曝露実験アダプタ（IVA-replaceable Small Exposed Experiment Platform: i-SEEP)を「きぼう」日本実験棟の船内に入れ、LPWA無線実験装置（Low Power Wide Area Receiver System: LPS）を取り外し、「きぼう」次世代ハイビジョンカメラシステム（High Definition Television Camera-Exposed Facility 2: HDTV-EF2）のカバーの確認を行いました。

8月29日、古川宇宙飛行士がi-SEEPに「国際宇宙ステーション－地上局間の高秘匿光通信の実証（SeCuRe lasEr communicaTionS terminal: SeCRETS ）」の装置を設置しました。SeCRETSはISSと地上の間で光通信を利用して暗号通信を行う実証実験です。この実験で物理層暗号プロトコルによる秘密鍵（乱数）共有の実証を行います。宇宙空間から光通信で秘密鍵を共有できれば、光ファイバー通信よりも遠くの場所で秘密鍵を共有し、暗号通信できるようになります。

9月3日、4℃での高品質タンパク質結晶生成実験（Low Temperature Protein Crystal Growth: LTPCG）の第9期実験が終わり、ジャスミン・モグベリ宇宙飛行士とアンドレアス・モーゲンセン宇宙飛行士が実験サンプルを二重の冷却バッグに入れ、同日20時05分にISSを離脱するクルードラゴン宇宙船運用6号機（Crew-6）に搭載しました。Crew-6は、9月4日13時17分に地球に帰還し、ISSは、通常の7人体制に戻りました。

9月7日、古川宇宙飛行士が「次世代水再生実証システム（JEM Water Recovery System: JWRS ）」からサンプル採取を行い、冷凍・冷蔵庫（Minus Eighty degree Celsius Laboratory Freezer for ISS: MELFI）に収納しました。JWRSは地上からの操作によって数日間ずつ運転する長期実証実験を継続しています。

同じく7日に、古川宇宙飛行士が遺伝子機能発光イメージング解析装置（TELE-LUMINESCENCE ANALYSIS SYSTEM:TELLAS）の設置、セットアップ、調整を行いました。この装置は、宇宙に持ちこまれた細胞や生体組織内での遺伝子機能の変化をリアルタイムで確認できる世界初の装置で、発現する遺伝子が、「いつ、どの程度機能しているか？」などの帰還後のサンプルでは得られない情報を取得できるようになります。

最後に、古川宇宙飛行士のSNS投稿の１つをご紹介。

「出張先であるISSへ12年ぶりに着き、いろいろ新しくなっているISSでの仕事のコツを、以前から滞在している経験豊富な仲間から引継ぎ中です。」古川宇宙飛行士 X（Twitter）

Crew-6の離脱までの一週間ほどの間、古川宇宙飛行士の主な作業は、Crew-6クルーとの引き継ぎ作業でした。細かい情報などもクルー間で直接伝えていくことで、到着直後でもISSでの活動をスムーズに行えるようにしています。

今回のレポートはここまでです。次回のレポートは、9月28日（木）頃を予定しています。古川宇宙飛行士の今後のISSでの活動をお楽しみに。

本日、9月14日19時15分ごろより、古川宇宙飛行士の国際宇宙ステーションからの軌道上記者会見をJAXA YouTubeチャンネルで生中継します。ぜひご覧ください。（アーカイブ視聴も可能です）