Reportレポート若田宇宙飛行士の活動レポート 23

JAXA若田宇宙飛行士、軌道上記者会見

軌道上記者会見に臨む若田宇宙飛行士(Image by JAXA/NASA)

日本時間2月17日 午後8時50分より、国際宇宙ステーション(ISS) 「きぼう」日本実験棟において、若田宇宙飛行士の軌道上記者会見が行われました。

若田宇宙飛行士冒頭の挨拶(抜粋/要約)

「この記者会見にお集まり頂き、ありがとうございます。10月初めのクルードラゴンでの打ち上げの後、すばらしいクルー、そして各国の地上管制チームの連携のおかげでさまざまな実験やISSの運用に必要な作業を確実に進めることができました。10月24日には宇宙の累積滞在期間が1年を超えまして、現時点(2月17日時点)で482日になりました。ISSは着実に進化していると感じています。「きぼう」日本実験棟の船外では曝露実験アダプターの活用、さらに小型のペイロード支援装置を活用するなど、新たなインターフェースによって利用の幅が広がってきています。今回、私自身初めてとなる船外活動を2回も実施できて、今後のISS運用に必要な新型太陽電池パネルの基部構造を取り付けるなど、ISSのアップグレードに貢献できたと思います」

質疑応答(一部)

今回のISS滞在で、初めて臨んだ船外活動の所感を教えてください。また、ISSの中から見る地球と外から見る地球とでは印象が違いましたか。

「長年の目標であった船外活動を実現できて、ご支援して頂いた皆さんに感謝の気持ちを表したいと思います。今回はNASAのニコール・マン宇宙飛行士とペアを組んで合計2回、14時間くらいに渡る船外活動を行いました。ISS運用延長のために船外活動で貢献できたことは大きな喜びです。

宇宙服のバイザーを通して見る地球はひときわ青く輝いていて、とても愛おしく感じました。同時に、ISSが暗黒の宇宙の中でひときわ明るく輝いていて、ISSという研究実験施設の希望と可能性を象徴するようなすばらしい輝きだったと感じました」

本日、H3ロケット打ち上げの予定でしたが、残念ながらシステムが異常を検知するなどして中止となってしまいました。この結果についてご所感を教えてください。

「H3に関しましては、今回の中止に関して、原因究明中と承知しています。これまでもロケット開発は多くの困難を乗り越えて進めてきていますので、今回も必ず国民の皆さんの期待に応えられると、私もJAXAの職員として信じています」

宇宙のSDG'sと宇宙から見た地球のSDG'sについて、若田さんからメッセージをお願いします。

「例えば、汗や尿から水を再生する水再生システムは宇宙でも必要なものですが、これは地上でも緊急時には必要となります。宇宙技術の開発が、将来の有人宇宙活動推進に役立つと同時に、地上でのSDG'sに役立つのではないかと思っています」

軌道上記者会見に臨む若田宇宙飛行士(Image by JAXA/NASA)

新しい宇宙飛行士や月面探査への期待をお聞かせください。

「今回、船外活動を通して、ISSが人類の活動領域を広げていく宇宙探査のために非常に重要なテストベッドであるという想いを新たにしました。ISSが様々な技術実証の場として活用されていくことを期待しています」

現在、日本は有人宇宙飛行をアメリカなど海外に頼っていますが、日本も有人飛行ができるように技術開発を進めるべきだと思われるでしょうか。

「有人宇宙活動に携わるものとして、世界の多くの国々が宇宙へのアクセス技術を持つことはとても大切だと思います。日本は種子島、内之浦とすばらしい打ち上げ射点を持っています。私は将来、ロケット技術、宇宙船システム技術を高めて、種子島から日本、そして世界の多くの皆さんを宇宙にお届けできるシステム構築を夢見ています。そういう方向に進められるように、努力していきたいと思っています」

若田宇宙飛行士会見終了の挨拶(抜粋/要約)

「帰還までの時間が短くなり、ラストスパートの状態になっています。これまでこの宇宙飛行、そして軌道上滞在のためにご支援頂いた皆さんに感謝しています。残り少ない期間ですが、地上管制局のチームの皆さんとの連携をきちんと維持して、第68次長期滞在クルーの仲間との結束を維持し、ISSの更なる利用成果の拡大、そして月・火星への有人宇宙活動の進展につながっていくように努力していきたいと思っています。今日は皆さん、本当にありがとうございました」

軌道上記者会見の様子は、JAXA YouTubeチャンネルでご覧いただけます。

JAXA 有人宇宙技術部門 Humans in Space人類の
未知への挑戦を。

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