若田宇宙飛行士 軌道上活動レポート Vol.9(1/21〜2/3)
1月20日から21日にかけて、若田宇宙飛行士とNASAのニコール・マン宇宙飛行士が船外活動(Extravehicular activity: EVA)を実施。さらには、2月2日から3日にかけて、同じマン宇宙飛行士とパートナーを組み、2度目のEVAが実施されました。6~7時間にも及ぶ作業で、心身への負担も大きいEVAの翌日は、クルーは必ず休みを取る計画となっています。また、EVAの準備作業が連日のように行われたこともあり、この期間、若田宇宙飛行士の「きぼう」日本実験棟での作業はいつもより少なかったようです。それでは、第9回目の若田宇宙飛行士軌道上活動レポートをお届けします。
1月27日、RSU(Remote Sensor Unit)の風量センサの位置を調整しました。このセンサは、「きぼう」の空気循環のダクト部分に取付けている風量センサのことです。ゴミ・ほこり等でダクトが目詰まりすると風量が落ちるため、その兆候を確認しています。RSUは風量、気温、照度などを測定する複数のセンサで構成され、無線で親機にデータを送信しています。今回、風量センサの測定データがうまく取得できなかったために、センサの位置を変えました。
1月30日、NASAのフランク・ルビオ宇宙飛行士が、近傍通信システム(Proximity Communication System: PROX)のバックアップ品の外観点検を実施しました。この点検作業は、来るべき新型宇宙ステーション「HTV-X」に備えた作業です。PROXは、国際宇宙ステーション(ISS)の軌道位置や速度情報、地上からのコマンドをHTV-Xに送るとともに、HTV-Xからのデータを受信する役割を担い、ISSとHTV-Xのランデブーには欠かせない装置です。「きぼう」に設置済みのPROX関連機器は、先代「こうのとり」から継続使用しています。
2月2日、21時45分頃から若田宇宙飛行士とニコール・マン宇宙飛行士がEVAを開始しました。前回のEVAに引き続き、新型太陽電池アレイ(ISS Roll-Out Solar Array: IROSA)を設置するための架台取り付け作業です。 これは、運用延長が決まっている2030年まで、ISSに安定して電力を供給するために必要な作業となります。前回のEVAの際に、架台の取り付け機構と、ISS側との干渉がありうまく取り付けられず、 今回のEVAまでの間に、地上の管制官と技術者のチームが検討を重ね、新しい取付方法を考えたうえで、取り付けに臨みました。しかし、その方法でも取り付けが困難で、EVA中にリアルタイムで地上とクルーが連携し、さらに新しい方法を考え出して、やっと取り付けが無事成功したのです。2人は、約6時間40分後の3日4時26分頃にEVAを終え、2回のEVAでの通算作業時間は、14時間以上となりました。
EVAが終わり、エアロックに戻った若田宇宙飛行士は、1回目に続き、日本語で次のようにコメントしています。
「日本の皆さん、今回の船外活動にあたりご支援いただきありがとうございました。ISSは漆黒の宇宙の中でとても輝いて見えました。人類のかけがえのない宇宙の研究施設の『きぼう』と可能性を象徴しているような輝きで、国際協力を更に進め、『和の心』を持ってISSを最大限に活用して利用成果を創出していきましょう」
今回のレポートはここまでです。
次回のレポートは2月22日(水)頃を予定しています。
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