Reportレポート若田宇宙飛行士の活動レポート 18

若田宇宙飛行士 軌道上活動レポート Vol.7(12/24〜1/6)

2023年が始まりました。本年もよろしくお願いいたします。新年最初のレポートは、年末から年始にかけての若田宇宙飛行士の活動の様子です。

12月25日はクリスマス。若田宇宙飛行士は国際宇宙ステーション(ISS)での2度目のクリスマスを迎えました。クリスマスは、通常、ISSに搭乗しているクルー全員で一緒に食事をしたり、地上にいる家族と交信したりしてゆっくりと過ごします。画像からクリスマスを楽しんだ様子が伝わってきますね!

クリスマスをクルーメンバーと祝う若田宇宙飛行士(Image by JAXA/NASA)

12月26日、静電浮遊炉(Electrostatic Lessvitation Furnace: ELF)の試料ホルダを取り付けました。今回の試料は、「高速炉シビアアクシデント解析のための制御棒材の共晶溶融物質の熱物性(B4C-SS eutectic)」実験のためのもので、炭化ホウ素(B4C) とステンレス(SUS)の化合物を融かして調べます。これは、原子炉で事故が発生した場合の対策を検討するための実験で、制御棒材料である炭化ホウ素とその被覆材のステンレスとが、一緒に融けた場合、材料単体の融点よりも低い温度で液化反応を起こす「共晶溶融反応」においての特性を測定するものです。特に炭化ホウ素の濃度が高い試料の場合は、融点が高くまた試料の蒸発を防ぐことが困難で地上での実験は難しいのですが、「きぼう」日本実験棟の静電浮遊炉(ELF)利用であれば測定が可能になります。

12月27日、ドラゴン補給船運用26号機(SpX-26)のスラスタ試験のために、「きぼう」日本実験棟にある微小重力計測装置(Microgravity Measurement Apparatus: MMA)の準備をしました。MMAには3軸の加速度センサーが搭載され、実験装置周辺の加速度環境を測定することができます。

1月1日、2023年を迎えました。若田宇宙飛行士はISSから日本時間での初日の出を撮影しました。美しい日の出は、Twitterでたくさんの人の心をとらえたようで、多くの方にリツイートされました。また、「きぼう」日本実験棟での書き初めの様子も、ツイートしていましたね。

宇宙で見る初日の出(若田宇宙飛行士Twitterより)

1月4日、小型衛星放出機構(JEM Small Satellite Orbital Deployer: J-SSOD)を「きぼう」日本実験棟のエアロックのスライドテーブルに取り付け、超小型衛星放出の準備をしました。

1月6日、J-SSODを使用して、インドネシアのスーリヤ大学が初めて開発した超小型衛星「Surya Satellite-1:SS-1」をはじめ、3機の超小型衛星が無事、宇宙に放出されました。SS-1は、2018年にJAXAと国連宇宙部の連携協力プログラム「KiboCUBE」の第3回公募で選定された衛星です。KiboCUBEは、2015年より、開発途上国の宇宙技術の能力構築と人材育成への貢献を目的として、ISS「きぼう」日本実験棟からの超小型衛星放出の機会提供するプログラムで、超小型衛星開発・運用を通じた人材育成及び技術実証の成果が、インドネシアの今後の更なる宇宙活動の発展へとつながることが期待されます。

同6日には、「宇宙船内水環境微生物のオンボードモニタリング法の開発(Micro Monitor)」実験のために、ISSの飲料水製造装置からサンプルとなる再生飲料水の収集も行いました。この水はSpX-26で地上に回収され、含まれる細菌数などを測定します。

再生飲料水のサンプルを収集する若田宇宙飛行士(Image by JAXA/NASA)

今回のレポートはここまでです。2023年も若田宇宙飛行士の軌道上活動の応援をどうぞよろしくお願いします。

次回のレポートは、1月26日(木)頃に公開予定です。

※本文中の日時は全て日本時間

JAXA 有人宇宙技術部門 Humans in Space人類の
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