若田宇宙飛行士 軌道上活動レポート Vol.6(12/10〜12/23)
「師走」と言いますが、あわただしく年末を迎えている方も多いのではないでしょうか?国際宇宙ステーション(ISS)でも12月はミッションが盛りだくさんです。「きぼう」日本実験棟での実証実験や船外活動(EVA)のサポートなど、若田宇宙飛行士の活動の様子を、今年最後のレポートとしてご紹介していきます。
12月10日、細胞培養装置追加実験エリア(Cell Biology Experiment Facility-Left: CBEF-L)の1Gおよび微小重力環境下にで培養していた「モデル生物を用いた宇宙フライトが及ぼす加齢への影響(Neural Integration System: NIS)」実験の線虫試料を化学固定し、冷凍・冷蔵庫(Minus Eighty degree Celsius Laboratory Freezer for ISS: MELFI)に収納しました。第5回のレポートでもご紹介しましたが、「線虫」という非常に小さな生物を使って、微小重力下における影響を調べます。この実験については、こちらのページで詳しく説明しています。研究代表者のインタビューが大変分かりやすいですので、ぜひご覧ください。
12月12日、全固体電池(Space All Solid-state Lithium-ion Battery: Space As-Lib)を電源設備につなぎ、電池の充電をしました。さらに、静電浮遊炉(Electrostatic Levitation Furnace: ELF)のガスボトルユニットを交換しました。ELFは、試料を静電気の力で浮かせて融かし、物質の性質を調べる装置ですが、その際、空気以外に窒素・アルゴンなど、試料に合わせたガスで満たした状態で調べます。今回はそのガスボトルを、次回実験のために交換しました。
12月13日、「きぼう」搭載用ポータブル冷凍・冷蔵庫(Freezer-Refrigerator of Stirling Cycle2: FROST2)に設置されている4℃で実施するタンパク質結晶生成実験(Low Temperature Protein Crystal Growth: LTPCG)で、結晶化容器の健全性確認を行いました。
12月13日から15日にかけて、「CBEFを用いた低重力環境下における液体挙動に関するデータ取得(LBPGE)」実験のRun1、Run2が実施され、両実験とも、無事に完了しました。LBPGEは低重力環境での液体の動きを調べるもので、取得したデータは有人与圧ローバの最適化設計や、将来、月や火星での探査に用いる機器の開発に役立てていきます。
また、次世代水再生実証システム(JEM Water Recovery System: JWRS)のバルブ交換などの作業が実施され、 JWRSの実験再開への準備も着々と進んでいます。
12月15日には、ISSにドッキングしているソユーズMS-22宇宙船(68S)で冷却水漏れが発生しましたが、ISSクルーには影響はなく、安全に過ごしています。
12月16日、ISSと首相官邸特設スタジオを結び、若田宇宙飛行士が岸田総理大臣、永岡文部科学大臣、高市宇宙政策担当大臣らと交信しました。交信の様子はYouTubeのアーカイブにてご覧頂けます。
12月23日、「きぼう」エアロックから12日に充電作業を行った全固体電池(Space As-Lib)を船外に出し、船外実験プラットフォームに設置しました。今年8月に続き、Space As-Libの宇宙空間での実証実験を行います。
今年は、毛利衛宇宙飛行士がJAXA宇宙飛行士として初めて飛行してから30年の節目となります。それを記念して、毛利宇宙飛行士と若田宇宙飛行士が地上と宇宙を結んで交信を行いました。その模様をYouTubeで公開しています。ここでしか聞けない対談の模様をどうぞお楽しみください。
今年の軌道上活動レポートはここまでですが、若田宇宙飛行士の滞在はまだまだ続きます。
来年もどうぞ応援いただけますようよろしくお願いします。
次回のレポートは、1月12日(木)頃に公開予定です。
良いお年をお迎えください。
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