Reportレポート若田宇宙飛行士の活動レポート 14

若田宇宙飛行士 軌道上活動レポート Vol.4(11/12~11/25)

打上げ延期が続いていたドラゴン補給船運用26号機(SpX-26)には、「きぼう」で行われる様々な実験用品が搭載されています。その到着前に、済ませておくべき実験準備などが、この期間に行われています。それでは、若田宇宙飛行士の活動の様子を、今回もご紹介していきましょう。

11月14日、「モデル生物を用いた宇宙フライトが及ぼす加齢への影響(Neural Integration System: NIS)」実験の準備のために細胞培養実験ラックの設定を変更しました。この実験は微小重力環境で運動機能が低下する要因などについて、線虫というモデル生物を使い、神経系への影響に焦点を当てて解明していくもので、超高齢化社会での健康維持に役立つ知見が得られるのではないかと期待されています。

11月16日、12月2日に予定されている小型衛星放出に備えて、「きぼう」エアロックのスライドテーブルに小型衛星放出機構(JEM Small Satellite Orbital Deployer: J-SSOD)を設置し、チェック作業を行いました。作業終了後、 J-SSODはエアロック内に保管され、放出の時を待ちます。この作業については、若田さんがTwitterでも報告しています。12月2日は、放出の様子をYouTubeで配信しますので、ぜひご覧ください。

「きぼう」日本実験棟内でJ-SSODをセットアップする様子 ©️JAXA/NASA

11月21日、NIS実験準備のために、ライブイメージングシステム(Confocal Space Microscopy: COSMIC)と実験に使用するラップトップコンピュータのセットアップを行いました。その後、地上からCOSMICの通信設定を行っています。COSMICとは、細胞を生きたまま立体観察できる顕微鏡で、様々なライフサイエンス実験で活躍しています。
また、同じ日には、筑波宇宙センターの「きぼう」運用管制室とのオンライン会議も実施しました。週に一度定例で、地上と行っている打ち合わせです。

11月23日、世界的な指揮者である小澤征爾さん指揮によるサイトウ・キネン・オーケストラの演奏が、リアルタイムで「きぼう」の若田宇宙飛行士に届けられました。曲目はベートーヴェンの「エグモント序曲」。通常、軌道上からの映像は地上に届きますが、地上からは音声以外の情報をリアルタイムで届けることは大変難しく、このようにオーケストラ演奏の様子を宇宙に届けるのは、世界で初めての試みです。若田宇宙飛行士も大変演奏を楽しんだようです。その模様は12月1日(木)12時より世界同時配信されましたので、ぜひご覧ください。

最後に、若田宇宙飛行士のSNS投稿の中から写真を1枚紹介します。

「おはようございます。先程カタール上空を通過しました。ワールドカップの熱気を感じるような街の明かりが印象的でした。日本代表をISSから応援しています!」(若田宇宙飛行士Twitter

若田宇宙飛行士Twitterより

今回のレポートはここまでです。Spx-26は、11月27日に国際宇宙ステーション(ISS)に到着しました。Spx-26の搭載品を使用した実験がこの後、本格的に始まりますが、その様子については、次回以降でご紹介いたしますのでお楽しみに!

次回のレポートは、12月15日 (木) 頃を予定しています。

※本文中の日時は全て日本時間

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