JAXA若田宇宙飛行士、軌道上記者会見
日本時間10月14日 午後8時より、国際宇宙ステーション(ISS) 「きぼう」日本実験棟において、若田宇宙飛行士の軌道上記者会見が行われました。
若田宇宙飛行士冒頭の挨拶(抜粋/要約)
「今日は本当に多くの皆さんにお集まりいただきありがとうございます。ISSの中に入ると新しいモジュールや実験装置がたくさんあって、ISSの進化を感じます。これまで、私は「きぼう」日本実験棟の組み立てからの変遷を見てきて、時代の変化に基づいて「きぼう」日本実験棟の進化も感じています。たとえば、この多目的実験ラック内にある実験装置は交換して実験でき、多様な利用の需要に応えられる状態になっていると実感します。また、私が2009年の長期滞在のときに、軌道上で組み立てた全天X線監視装置(MAXI) が、今も現役で活躍していることは驚嘆すべきことです。その一方で、役目を終えた装置類は時代の変化に合わせて新しいものに更新されています。エアロック、ロボットアームという「きぼう」ならではの強みを生かして、大型から中型、小型に至るまで、「きぼう」日本実験棟の強みを生かした様々な実験装置の実証機会を創出し、活躍していることを、私も頼もしく感じています」
質疑応答(一部)
ISSについて1週間ほどたちましたが、これまでにどのようなことをしましたか。すでに行った実験などがあればその内容も教えて下さい。
「クルードラゴンでISSに到着してからは、作業の引き継ぎ、ISSの中での緊急事態対応の手順の確認などが多かったです。「きぼう」日本実験棟では、アジア太平洋地域の学生さんたちが参加する「きぼう」ロボットプログラミング協議会(Kibo-RPC)に参加したり、遺伝子機能発光イメージング解析装置(TELLAS)の取り付けなどをしました」
前回の滞在時と比べて、体の順応具合やISS内の違いなどは感じますか。
「体の方はこれまでの宇宙飛行のときと、ほとんど同じだと思います。前回のフライトから8年ほど経ちますが、まるで昨日のことのように体が無重力環境を覚えてくれていて、自然に対応できていると感じます。ISSには新しいモジュールも加わっていますし、タブレット端末で作業手順書を見ることができ、作業の効率性が上がっていると実感しています」
今回、宇宙飛行士の声をもとにして作られた宇宙船内服、靴下などの製品を宇宙に持っていきましたが、もう使用されましたか。このような取り組みについての感想なども教えてください。
「まだ長期滞在が始まったばかりなので、まだほとんど使用していないですが、今回、様々な生活用品を打ち上げてもらっていますので、それらを使えることを楽しみにしていますし、その報告もしたいと思います。既に存在している日本の様々な技術が宇宙でもそのまま使え、それによって宇宙の生活をしやすくしたり、作業効率性や安全性を高めたりする効果があると思いますので、日本の優れた製品の宇宙での使用が拡大していくことを期待しています」
今の小学生たちが大人になる頃の宇宙はどうなっていると思われますか。
「昨年は、我々、職業宇宙飛行士よりも民間の方がたくさん宇宙に行っており、この傾向は拡大していくと思います。民間宇宙船の利用の拡大で、もっと多くの方々が宇宙に行ける時代が来ます。日本も国際宇宙探査、月探査に参加し、地球低軌道からその先の月、火星へと人類は活動領域を拡大していきますので、今の小学生の皆さんが大人になる頃は、宇宙を舞台に仕事ができたり、宇宙をいろいろな形で使える時代になると思います。子どもたちには、自分の夢や具体的な目標を持ち、宇宙で何をしたいのか、その実現のために何をしたらいいかを考えて、今できることを確実に毎日、行ってもらいたいなと思います」
若田宇宙飛行士会見終了の挨拶(抜粋/要約)
「有人宇宙活動の現場で、これまで私が経験させてもらったことを活かして、世界に認められる日本の技術やリーダーシップで人類に貢献していきます。『科学利用、有人宇宙技術、そして民間利用の3つの柱で成果を出していくこと』、『将来の地球低軌道活動、国際宇宙探査、有人宇宙探査につながるように日本が先導し続けること』、『互いに思いやるチームワークで、チーム全体としての成果を出していくっていうこと』の3つに留意して、ミッションを乗り切っていきたいと思います。クルー同士だけでなく、世界各国の管制局の皆さんとの連携をきちんと取りながら、がんばっていきたいと思いますので、これからも応援をよろしくお願いします」
軌道上記者会見の様子は、JAXA YouTubeチャンネルでご覧いただけます。
ポスター・等身大パネル・プレスキットをダウンロードいただけます。