Report & News大西宇宙飛行士の活動レポート&ニュース

大西宇宙飛行士 軌道上活動レポート Vol.7(6/2〜6/15)

6月13日で大西卓哉宇宙飛行士の宇宙滞在が通算200日となりました。「きぼう」日本実験棟ではいろいろな宇宙実験が動いていて、大西宇宙飛行士は充実した日々を過ごしています。今回の長期滞在も後半に入っています。皆様からの応援、よろしくお願いします。

それでは、この期間で行われた大西卓哉宇宙飛行士の活動の一部を紹介します。

滞在通算200日記念として、地上メンバーと記念写真を撮る大西宇宙飛行士(Image by JAXA)

6月3日、「きぼう」エアロックのスライドテーブルを操作し、ロボットアームの子アーム(Small Fine Arm: SFA)を「きぼう」船内に入れ、SFAの放熱板が剥離した部分を修理しました。翌日、この作業について、大西宇宙飛行士がSNSに投稿しました。

「15年ぶりに、子アームがきぼうの船内に帰ってきました。船外に出て行ったときは真っ白だった断熱材も、少し茶色がかって15年という歳月と宇宙環境の厳しさを物語っています。
簡単な補修をして、すぐにエアロックに戻されました。
子アームにとって、これが最初で最後の船内帰還かもしれません。」大西宇宙飛行士X(Twitter)

子アームの補修をする大西宇宙飛行士(Image by JAXA/NASA)

6月4日、「宇宙微小重力・高紫外線環境ストレスに対する植物の応答解析(Study on plant responses against the stresses of microgravity and high ultraviolet ray in space: Plant UV-B)」実験で使用した植物実験ユニット(Plant Exp Unit: PEU)の清掃を行いました。Plant UV-Bは、「きぼう」で強紫外線(UV-B)を照射しながら植物のシロイヌナズナを栽培することで、微小重力や強紫外線といったストレスにどのような反応をするのかを調べる実験です。将来、月や火星で行われるであろう宇宙植物栽培へとつながる知見が得られると期待されています。

6月5日、地上のスタッフと連携して、JEM船内可搬型ビデオカメラシステム実証2号機(Internal Ball Camera2: Int-Ball2)の飛行データを取得しました。

6月6日、ハイパースペクトルセンサ(Hyperspectral Imager Suit : HISUI)のデータ記録用ハードディスクを交換しました。HISUIは鉱物資源探査などへの利用を目的につくられた観測装置です。鉱物探査だけでなく、環境、農業、防災など、幅広い分野での利用が期待されています。

6月9日、大西宇宙飛行士の支援を受け、Int-Ball2を地上から操作し、「きぼう」内に設置された火災報知器(Fire Indicator)の機能確認をしました。今回は完全ではないものの、本来宇宙飛行士が行っていた作業の一部をInt-Ball2がを担う試みとなりました。将来は完全に飛行士作業を代替できるように取り組みを進めてゆきます。

6月10日、新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)を迎え入れる準備として、「きぼう」ロボットアームのバックアップ用コントローラーのデータを更新しました。さらに、「火災安全性向上に向けた固体材料の燃焼現象に対する重力影響の評価(Fundamental Research on International Standard of Fire Safety in Space -base for safety of future manned mission-: FLARE)」実験の準備として、固体燃焼実験装置(Solid Combustion Experiment Module : SCEM)内の試料を交換し、「きぼう」に設置されている実験機器に電気を供給する28ボルト電源ボックス(PB28)を清掃しました。

6月12日、大西宇宙飛行士がNASAの装置で行われている宇宙実験をSNSで紹介しました。

「NASAのグローブボックスでは、先日一つの実験が終わったと思ったらもう次の実験が始まりました。
タンパク質溶液の無容器での挙動を調べることで、地上のコンピューターモデリングの精度を上げ、次世代の創薬に繋げようというものです。
容器の影響を受けないデータを取るという点で、ELFに似ています」大西宇宙飛行士X(Twitter)

NASAのグローブボックスを実験する大西宇宙飛行士(Image by JAXA/NASA)

6月13日、Int-Ball2を自動で充電するためのドッキングステーションの設定を一部変更する作業を行いました。

6月15日、大西宇宙飛行士が「きぼう」で『紙風船エクササイズ』を行う動画をSNSに投稿し、JAXAとスポーツ庁と連携協定を結んでいることを伝えました。

「JAXAは、「スポーツ×宇宙」の取組による新たな可能性への挑戦を掲げてスポーツ庁と連携協定を結んでいます。
そこで私も、スポーツ庁が動画を公開している『紙風船エクササイズ』というのを宇宙でやってみました💪
重力を利用できない宇宙ではトレーニング方法が限られるので、有効活用できそうです。」大西宇宙飛行士X(Twitter)

今回のレポートはここまでです。
次回のレポートは、7月上旬を予定しています。

※本文中の日時は全て日本時間

JAXA 有人宇宙技術部門 Humans in Space人類の
未知への挑戦を。

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