Report & News大西宇宙飛行士の活動レポート&ニュース

大西宇宙飛行士 軌道上活動レポート Vol.6(5/19〜6/1)

国際宇宙ステーション(ISS)には補給船を使って地上からたくさんの物品が運ばれます。そして、ISSから地上に物品を届けることもあります。ただ、現在使用されている補給船の中で、地上に物を持ち帰ることができるのは、米国・スペースX社のドラゴン補給船だけです。この期間には、ドラゴン補給船の地球帰還もありました。

それでは、この期間で行われた大西卓哉宇宙飛行士の活動の一部を紹介します。

5月19日、大西宇宙飛行士が「きぼう」で固体燃焼実験装置(Solid Combustion Experiment Module: SCEM)のガスボトル配管のバルブを開けた後、地上からの操作で「火災安全性向上に向けた固体材料の燃焼現象に対する重力影響の評価(Fundamental Research on International Standard of Fire Safety in Space -base for safety of future manned mission-: FLARE)」実験を開始しました。

5月20日、「きぼう」エアロックスライドテーブルに、ロボットアームの子アーム(Small Fine Arm: SFA)を取り付ける機構を取り付け、SFAを船内に搬入する準備をしました。

さらに、「深宇宙放射線が哺乳類の次世代へ与える影響について(Space Pup-II)」実験として、ISSで14か月以上、常温保存した哺乳類の生殖細胞試料等をドラゴン補給船運用32号機(SpX-32)で地球に送り出す準備をしました。

5月21日、「宇宙環境が精子幹細胞の繁殖能力へ及ぼす影響の解析(Sperm Stem Cells)」実験の試料をSpX-32で地球に戻す準備として、冷凍・冷蔵庫(Minus Eighty degree Celsius Laboratory Freezer for ISS: MELFI)から使用していた機器を取り外しました。

5月23日、「きぼう」搭載用ポータブル極低温冷凍冷蔵庫(FROST2)から、20℃で実施するタンパク質結晶実験(Moderate Temperature Protein Crystal Growth:MT PCG)の試料を取り出し、SpX-32に搭載するための梱包作業をしました。この作業の様子を、JEM船内可搬型ビデオカメラシステム実証2号機(Internal Ball Camera2: Int-Ball2)がビデオ撮影し、大西宇宙飛行士をサポートしました。

5月24日、アジアントライゼロG(Asian Try Zero-G)実験の準備作業として、使用する物品を揃えました。

24日1時5分にSpX-32がISSから離脱し、地球に向かいました。大西宇宙飛行士はハッチクローズ直前の様子をSNSに投稿しています。

「ドラゴン補給船、様々な機器や実験サンプルを満載して、無事にアンドックしていきました!写真はハッチクローズ前に連結部から撮ったものですが、ハッチの開閉に必要な部分を除いてギッチリ荷物が詰まっています。
約1ヶ月の係留期間に船外活動も実施するなど、ひとつの山場を越えた感じがします。」大西宇宙飛行士X(Twitter)

アンドック作業を進める大西宇宙飛行士(Image by JAXA/NASA)

その後、5月25日14時44分、SpX-32は米国・カリフォルニア沖へ無事に着水しました。

5月26日、広報活動の一環として、大西宇宙飛行士は宇宙食と生活用品の紹介動画を撮影しました。

5月27日、大西宇宙飛行士が、ロボットアームがSFAを船内に搬入する様子をSNSに投稿しました。

「クルーがお休みの日にも、地上からの遠隔で行う実験やシステム運用は続いています。
きぼうでは、ロボットアームの子アーム(器用な指先みたいなもの)を船内に搬入するための運用が進行中です。
途中、日陰になる部分はカットしていますが、タイムラプスでその模様をご紹介します。」大西宇宙飛行士X(Twitter)

5月28日、船外活動(Extravehicular Activity: EVA)の準備作業としてロボットアームの搭載機器を取りかえました。

5月29日、地上からロボットアームを操作してSFAを「きぼう」エアロック内に搬入しました。その作業の前に、搬入されたSFAの様子を撮影するために、大西宇宙飛行士が「きぼう」船内側の窓に撮影用のビデオカメラを設置していました。

船外部ライトを交換する大西宇宙飛行士(Image by JAXA/NASA)

5月30日、「きぼう」日本実験棟船内の定期メンテナンスとして、空気調和装置の空気吸い込み口に設置してあるリターングリルの清掃を行いました。

5月31日、大西宇宙飛行士がISSにある備品の点検作業の様子をSNSに公開しました。

「今日は船外活動用の電動ドライバーの12ヶ月点検を担当しました。
これは14段階にトルクをセットできるのですが、トルクを計測するアタッチメントを着けて、実際にそれぞれの段階でどれくらいのトルクが出ているかを計測しました。
個体差もありますし、同じ個体でも計測の度に微妙に誤差が変わります」大西宇宙飛行士X(Twitter)

点検作業中の大西宇宙飛行士(Image by JAXA/NASA)

今回のレポートはここまでです。
次回のレポートは、6月中旬を予定しています。

※本文中の日時は全て日本時間

JAXA 有人宇宙技術部門 Humans in Space人類の
未知への挑戦を。

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