大西宇宙飛行士 軌道上活動レポート Vol.1(3/15〜3/21)
3月15日8時03分(日本時間)に米国フロリダ州ケネディ宇宙センターから、大西卓哉宇宙飛行士を乗せたクルードラゴン宇宙船運用10号機(Crew-10)が打ち上げられました。Crew-10は順調に飛行を続け、国際宇宙ステーション(ISS)に到着、ドッキングをしました。その後、大西宇宙飛行士たちは元気にISSへ入室し、長期滞在がスタートしました。
これからの長期滞在中、大西宇宙飛行士はISSで様々な業務を実施します。その活動の一部を紹介していきます。
3月16日、14時35分にCrew-10とISSの間のハッチが開かれ、大西宇宙飛行士が1番にISSへ入室しました。さらに、Crew-10に搭乗していた他のクルーも次々にISSへ移動し、ISSに滞在していた7名と合流し、ISS滞在者が11名になりました。全員が整列できたところで、Crew-10で到着した4名を歓迎するウェルカムセレモニーが開かれました。

3月17日、地上からJEM船内可搬型ビデオカメラシステム実証2号機(Internal Ball Camera2: Int-Ball2)を操作し、飛行性能の確認をしました。さらに、多目的実験ラック2(Multi-purpose Small Payload Rack 2: MSPR2)も地上から起動させ、静電浮遊炉(Electrostatic Levitation Furnace: ELF)実験を開始しました。
3月18日、14時05分にクルードラゴン宇宙船運用9号機(Crew-9)がISSから離れ、ニック・ヘイグ宇宙飛行士、アレクサンダー・ゴルブノフ宇宙飛行士、バリー・ウィルモア宇宙飛行士、サニータ・ウィリアムズ宇宙飛行士が地球に向かって出発しました。これにより、ISSの滞在クルーは7名になりました。
3月19日、筑波宇宙センターの「きぼう」運用管制室と接続し、オンライン会議に出席しました。日本人宇宙飛行士がISSに長期滞在する間は、週1回の頻度で地上の「きぼう」運用管制チームと会議を行い、その週に実施されるJAXA関連の作業について確認します。今回は大西宇宙飛行士の滞在が始まって初の会議となり、長期滞在を支えるチームが本格的に始動しました。
同じく3月19日は、地上からロボットアームと「きぼう」エアロックスライドテーブルを操作して、遠隔電力制御モジュール(Remote Power Controller Module: RPCM)をISS船内に搬入しました。RPCMは、ISSの電源である太陽電池パドルから供給される電力を、様々な機器に分配、制御する装置です。ISSには200個ほどのRPCMが設置されていて、故障などが発生すると、適宜、交換されます。
さらに、大西宇宙飛行士とキリル・ペスコフ宇宙飛行士がCrew-10でISSに運んできた荷物の移動をし、ISSのオリエンテーションにも参加しました。大西宇宙飛行士は荷物の整理や宇宙実験の作業手順を確認する他に、改良型エクササイズ装置(ARED)で運動しました。
3月21日、大西宇宙飛行士がアメリカのトランクウィリティー・モジュールにモーションキャプシャーシステムを設置し、AREDでの運動を記録しました。
最後に、大西宇宙飛行士のSNS投稿の1つをご紹介。
「無事にISSに到着しました!さすがドラゴン、ほぼ自動運転で目的地に着いた感じです。写真はきぼうへの久しぶりの入室の瞬間です。顔が早速パンパンになってます。無重力で体液が上半身にシフトすることで起こります。変わりっぷりは個人差がありますが、私は結構大きい気がします。。。」大西宇宙飛行士X (Twitter)

大西宇宙飛行士の約9年ぶりのISS長期滞在ミッションは順調にスタートしました。今後の活動が楽しみです。
今回のレポートはここまでです。
次回のレポートは、4月中旬頃を予定しています。
※本文中の日時は全て日本時間