野口聡一宇宙飛行士ISS長期滞在に向けた船外活動訓練を実施
3回の船外活動(Extravehicular Activity: EVA)を行い国際宇宙ステーション(ISS)の組み立てに貢献した2005年のSTS-114ミッション、そして宇宙環境を利用した科学実験などを行った2009年の第22次/第23次ISS長期滞在に続き3度目の宇宙へ!
野口聡一宇宙飛行士の現在の訓練状況をお伝えします。
この9月に2回の船外活動訓練を行う野口宇宙飛行士。無重量環境訓練施設(Neutral Buoyancy Laboratory: NBL)での訓練を一緒に行うのは、それぞれクルードラゴン運用初号機でISSに向かうCrew-1メンバーのマイケル・ホプキンス宇宙飛行士とビクター・グローバー宇宙飛行士です。
NASAの巨大なプール(縦60m、横30m、深さ12m)で行うこの訓練では、無重量を模擬した環境で宇宙飛行士が船外活動の手順を検証します。
船外活動関連の訓練としては他に、Partial-gravity Offload System (POGO)という人工的に無重力に近い状態を作り出す装置を使って行うものがあります。
クレーンのようなもので釣り上げられている野口宇宙飛行士!
宙に吊り下げられた状態でボルトや配管の取り外し・取り付け作業を行います。水中の訓練では水の抵抗により宇宙空間で顕著な「慣性」を模擬できず、水の抵抗で「動く」のは大変ですが「止める」のは簡単です。しかし抵抗がほとんどない宇宙空間では逆に「動く」のは簡単で「止める」ことが難しくなります。この宇宙空間で顕著な「慣性」をある程度模擬できるPOGOを使用した操作は、体や道具が動いてしまう無重力空間での「作業のコツ」や「宇宙での間隔」を掴むための大事な訓練です。
また、ISSのエアロックと同様の機能を持つSSATA(Space Station Airlock Test Article)では、チャンバー内を減圧して宇宙での活動を模擬し、船外活動の準備に必要な実際のスーツの操作法などを訓練します。
新型コロナウイルス感染を予防しながら順調に進められている野口宇宙飛行士の訓練情報。
次回は、アメリカの民間宇宙企業スペースX社が開発した「クルードラゴン」搭乗に向けた訓練の模様をお届けします。お楽しみに!