JAXA 野口聡一宇宙飛行士
第64次/第65次 ISS長期滞在
ミッション167日の記録

挑戦をやめない生き物を、人類と呼ぶ。

日本人初!民間の宇宙船
「クルードラゴン」運用初号機で宇宙へ

NASA Astronaut
シャノン・
ウォーカー

NASA Astronaut
ビクター・
グローバー

NASA Astronaut
マイク・
ホプキンス

JAXA Astronaut
野口 聡一

野口聡一宇宙飛行士は、米国人以外として初めて、米国の民間企業(スペースX社)が開発した新型宇宙船「クルードラゴン」に搭乗し、
国際宇宙ステーション(ISS)に向かいました。
野口宇宙飛行士が宇宙に滞在するのは2010年以来3度目で、 2020年11月から2021年5月までの約5か月半、
第64次/第65次長期滞在クルーとして様々なミッションを遂行しました。
また「滑走路」、「地面」、そして今回の「海上」と3つの方法で帰還を果たした初の宇宙飛行士となり、歴史に名を刻みました。

ISS Expedition

宇宙飛行
1676時間29
ISS滞在
16520時間34
  • 11月16日 午前9時27分

    打ち上げ

  • 11月17日 午後1時1分

    ISSへドッキング

  • ISSでの作業

  • 5月2日 午後3時56分

    フロリダ・パナマシティ沖に着水

日本時間の表示です。

Menu01野口宇宙飛行士が
日本実験棟「きぼう」で
行った主なミッション

微小重力環境を活用した立体臓器創出技術の開発
微小重力環境を活用した立体臓器創出技術の開発
Space Organogenesis

宇宙空間における微小重力では沈降や対流などが無く、細胞を三次元的に展開させることにおいて有利であると考えられます。その環境を活用することによって、iPS細胞を用いたヒト器官原基創出法を発展させ、大血管を付与した立体臓器の創出を目指した基盤技術開発を行うことを目的とした実験が行われました。

この実験ではまず、地上でヒト由来のiPS細胞から分化させた肝前駆細胞、血管内皮細胞、間葉系幹細胞から作製した肝臓の原基となる肝芽を作製し、血管様構造体と共に封じ込めた培養容器を「きぼう」に打ち上げました。そして軌道上の野口宇宙飛行士が、「きぼう」の中に設置されたインキュベータ内で所定の期間肝芽の培養を行い、実験のサンプルは、ドラゴン宇宙船運用21号機(Sp-X21)で地球に帰還した後に筑波宇宙センターへ到着しました。( 2021年1月21日)

成長の違いなどを地上で培養した対照群と比較し、臓器原基成長における重力の影響について解析が行われています。このミッションでの成果は、立体臓器の創出に繋がる基盤技術の開発に役立てられます。

© JAXA/NASA
保管用冷蔵庫からの実験サンプルの取出しや実験装置への取付け、サンプルの状態を確認するための顕微鏡観察の準備・調整等の作業を行う野口飛行士
© JAXA
軌道上の野口宇宙飛行士の作業を見守る関係者

バジルの栽培実験Asian Herb in Space

アジア・太平洋地域における「きぼう」利用推進に関する国際協力として、「Asian Herb in Space(AHiS)」プロジェクトが実施されました。「きぼう」でのバジル栽培実験などを通して、アジア・太平洋地域の学生や若手研究者に、宇宙生物学を学ぶ機会を提供します。

栽培実験は、2021年2月16日に野口宇宙飛行士による栽培容器への給水から始まりました。4つの栽培容器は「きぼう」船内実験室の蛍光灯の下に設置され、24時間光を受けて育ったバジルは、栽培10日目の給水の際には1cmから1.5cm程度に成長しました。栽培21日目に野口宇宙飛行士が2回目の給水を行い、栽培30日目にはすべてのバジルが良好に育ったことを確認し、容器ごとISSの冷凍庫に収納する最後の作業を行いました。

バジルは凍結状態で回収され、日本とマレーシアの研究者が香気成分や成長への影響を解析し、アジア・太平洋地域の学生はその解析結果を学び、自身の地上実験に活用する予定です。また、「きぼう」から回収された宇宙飛行種子は、日本をはじめ各地域に返還され、教育プログラムに活用されます。

© JAXA/NASA
栽培10日目に1回目の給水作業を行う野口宇宙飛行士
© JAXA/NASA
栽培30日目のホーリーバジルS/N003
© JAXA/NASA
栽培30日目のホーリーバジルS/N003
© JAXA/NASA
アジア太平洋各地から集められた種子

高品質タンパク質結晶生成実験
高品質タンパク質結晶生成実験
PCG

タンパク質は私たちの生命活動を支える重要な分子です。タンパク質の形(構造)と働き(機能)は密接につながっており、形が詳しく分かれば機能の推測ができることに加え、その働きを促進したり阻害したりする化合物を設計することも可能になります。医薬品の多くは、こうしたタンパク質の機能を調整するものなので、タンパク質の構造の情報は生命現象を解明することに役立つだけでなく、医薬品の開発にも役立ちます。

品質の良い結晶があれば、タンパク質の構造の細かいところまではっきりと見えますが、結晶の内部に不純物が入っていたり、タンパク質の並びが乱れていたりすると、ぼんやりとしか形が分からないことがあります。

国際宇宙ステーションの微小重力環境では、密度差などによる流れ(対流)が起こらないため、結晶が静かな環境で安定して成長できます。流れに乗って不純物が結晶に取り込まれることも少ないので、結晶中で分子が規則正しく並んだ、品質の良い結晶ができるのです。こうした結晶から得られたタンパク質の詳しい形の情報から、研究や医薬品の開発を一層進めることが可能となります。

野口宇宙飛行士が軌道上に滞在していた際の実験では、創薬標的の約半分を占める膜タンパク質について、軌道上でタンパク質と脂質を混合する作業を行い、その後、結晶化容器にタンパク質を分注して20℃で結晶化を開始しました。ドラゴン補給船運用21号機(SpX-21)で地上に回収したところ、結晶が期待どおり生成しており、技術実証実験は成功しました。

静電浮遊炉(ELF)を使用した高精度熱物性測定
静電浮遊炉(ELF)を使用した高精度熱物性測定
ELF

静電浮遊炉(Electrostatic Levitation Furnace: ELF)は静電気力によって材料を浮遊させることで、容器を使用せずに材料を溶かして観察できる装置です。液体となった物質を観察することで、その物質の密度、粘性、表面張力などを調べることができます。野口宇宙飛行士は、静電浮遊炉(ELF)の試料カートリッジの清掃と飼料ホルダの交換などの作業を実施しました。

地球低軌道利用の
経済活動発展に向けた取り組み
民間企業との「共創」

超小型衛星の放出

3月14日(日)(日本時間)地上からの操作により軌道上装填型小型衛星放出機構(J-SSOD-R)を使用した初の放出が行われ、野口宇宙飛行士はその様子を撮影しました。J-SSOD-Rは「キューブサット」と呼ばれる1辺10cmの超小型衛星を放出することが可能で、一度に放出できる衛星の数やサイズが増加しました。

© JAXA/NASA
「きぼう」から放出される超小型衛星「OPUSAT-II」(大阪府立大学)、「BIRDS-4(Tsuru, Maya-2, GuaraniSat-1)」(九州工業大学/University of the Philippines Diliman(フィリピン大学ディリマン校)/Agencia Espacial del Paraguay(パラグアイ宇宙庁))、「RSP-01」(一般社団法人リーマンサットスペーシズ)の様子

今回放出された8機の中には、JAXAと九州工業大学の戦略的パートナーシップ契約に基づき日本の九州工業大学とアジア・アフリカ諸国が参加して、超小型衛星を共同開発・運用する国際的な衛星開発プロジェクト「BIRDS」で打ち上げられた衛星もありました。日本、フィリピン、パラグアイの3か国が参加して、およそ1年間で、各国がそれぞれ1機のキューブサットを開発しました。パラグアイにとっては自国初の人工衛星となりました。

「KIBO宇宙放送局」事業共同実証の始動

その他にも、「きぼう」に開設した宇宙と地上を双方向でつなぐスタジオ「KIBO宇宙放送局」の取り組みとして、2020年12月31日から2021年1月1日にかけて、番組配信を実施しました。独自のISSと地上間の双方向ライブ番組配信システムを用いた「KIBO宇宙放送局」の初回技術実証の成功を経て行われた本配信は、「KIBO宇宙放送局」の定着・拡大に向けたJ-SPARC事業共同実証として「宇宙の初日の出〜THE SPACE SUNRISE LIVE 2021〜」というテーマで行われました。宇宙への人々の関心や反応に関するデータを取得し、人々が宇宙に親しむ機会の創出及び定番化を目指して、本共同実証は引き続き展開されています。また、日本最大級の経営層向けオンラインカンファレンス「Japan Open Innovation Fes 2020→21(JOIF) 」が実施した共創バトルで、本KIBO宇宙放送局事業が最高位に選出されました。

© KIBO宇宙放送局
野口宇宙飛行士とのリアルタイム双方向交信
世界初!国際宇宙ステーションの宇宙アバター「space avatar」操作体験の実証始動
世界初!国際宇宙ステーションの宇宙アバター「space avatar」操作体験の実証始動

「きぼう」に宇宙アバター「space avatar」を設置し、その操作体験を一般の方に提供する世界初の試みを行いました。本実証では、一般の方が街中から、「きぼう」に設置された「space avatar」をリアルタイで直接操作し、宇宙や地球を眺めることで、あたかも自身が宇宙にいるような世界初のアバター体験を提供する事を目的に、地上の特設会場から、「space avatar」にアクセスする一般向けのイベントが実施されました。

© avatarin/ Clouds Architecture Office
「space avatar」体験イメージ

Menu02野口宇宙飛行士の挑戦

船外活動(EVA)の実施

野口宇宙飛行士は2021年3月5日(日本時間)夜、日本人最多となる4回目の船外活動を行いました。6時間56分におよぶ船外活動(EVA)で野口宇宙飛行士とキャスリーン・ルビンズ宇宙飛行士は、新型太陽電池アレイ設置に向けた架台取り付け作業を完了しました。
野口宇宙飛行士の船外活動合計時間は27時間1分となり、日本人宇宙飛行士の最長記録を更新しました。
新型太陽電池アレイ設置に向けた架台取付けでは、劣化により出力の落ちてきた太陽電池の出力を補完するため、新規の太陽電池アレイの取り付けの準備として新規太陽電池アレイ(IROSA)の架台を4B太陽電池アレイの根本に取り付けました。
その他、Node1に設置されているワイヤレスビデオ送受信機(WETA)がロシアのEVA#47(2020年11月18日実施)の最中に故障したことから、今後のロボティクス運用や船外活動のモニタに利用するために船外のワイヤレス通信用機器の交換を行いました。

© JAXA/NASA
船外活動(EVA)作業を行う野口宇宙飛行士

シグナス補給船のキャプチャ

国際宇宙ステーション(ISS)滞在中の野口宇宙飛行士が、2021年2月22日18時40分ごろ(日本時間)にシグナス補給船運用15号機(NG-15)の把持(キャプチャ)を行いました。
シグナス補給船は、日本の宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)が世界で初めて実現し確立した「ランデブ・キャプチャ」方式を採用しています。野口宇宙飛行士は、ISSのロボットアーム(Space Station Remote Manipulator System: SSRMS)を操作して、キャプチャを実施しました。
今回の補給船には、筋肉の衰えの研究や、宇宙空間での睡眠の研究、さらに宇宙空間で高出力コンピュータをテストする実験など、さまざまな実験関連機器や、クルーへの支給品が搭載され、マイケル・ホプキンス宇宙飛行士とともに実験関連品などの搬入を行いました。
日本人宇宙飛行士によるシグナス補給船のキャプチャは、大西宇宙飛行士に続き2人目です。

© JAXA/NASA
シグナス補給船運用15号機(NG-15)のキャプチャ作業を行う野口宇宙飛行士

Menu03野口宇宙飛行士の
宇宙での生活を支えたもの

日本初!民間企業プロデュースの『宇宙服』
日本初!民間企業プロデュースの『宇宙服』

野口宇宙飛行士がISSに長期滞在する際に着用した船内被服は、「吸水速乾、抗菌消臭」といった機能性は勿論、工具類をそのまま収納できる取り外し可能なポケットや、上下が独立して着やすいツナギなど、ISS船内でのパフォーマンスを最大限引き出す工夫がされていました。ストレッチ性があり、着心地や動きやすさでも野口宇宙飛行士の活動をサポート。宇宙で着用する船内被服もファッション感覚で楽しめるようになりました。

© JAXA/NASA
キューポラ内で撮影された野口宇宙飛行士
© JAXA/NASA
キューポラ内で撮影された野口宇宙飛行士

各国の宇宙飛行士に大人気!『宇宙日本食』
各国の宇宙飛行士に大人気!『宇宙日本食』

ISSに⻑期滞在している⽇本人宇宙⾶⾏⼠が、宇宙でも⽇本⾷の味を楽しめるように、JAXAが認証基準を整備し、日本の民間企業等が開発している宇宙日本食。精神的なストレスを緩和し、仕事の効率が上がる効果に加えて、宇宙飛行士が自国の宇宙食を持ち合い、時には交換して食べることで、円滑なコミュニケーションにも繋がっています。
宇宙日本食に認証された食品は、47品目。(2021年9月1日時点)
今回の野口宇宙飛行士のISS滞在時には、鯖の産地である福井県の高校生が開発した「サバ醤油味付け缶詰」など17品目の宇宙日本食が初めて宇宙に届けられました。

© JAXA
日本の民間企業等が開発している宇宙日本食
© JAXA
宇宙日本食のサバ醤油味付け缶詰
© JAXA/NASA
宇宙日本食を解説する野口宇宙飛行士

Menu04SNSで振り返る
野口宇宙飛行士の軌跡

Back to where I once belong!
宇宙に帰って参りました!

11/27

3回目の
宇宙滞在

Moonstruck. Speechless. #Full-Moon rise
満月の出。神々しい。

11/30

満月

日本の皆さん、あけましておめでとうございます。2021年もよろしくお願いいたします。新春の朝日を浴びて輝く #富士山 の秀麗な姿をお届けします!

1/7

新年

#ISS で散髪中 Space Hair Salon IKE @AstroVicGlover

1/14

働きバチのように働いています!

1/21

働きバチ

ちょっと窓を開けて地球を愛でようか

1/22

地球を
愛でる

きょうからバジルを育てるよ。みんなもいっしょに植物を育ててみてね! #きょうのバジル I just started growing basil in space! #spacebasil

2/17

宇宙
バジル

うわぁ、もう芽が出てきたよ。土も重力もないのに、植物ってすごいね。ゆめじゃなかったー #きょうのバジル #day3 Already started to sprout! #SpaceBasil

2/19

芽が
出てきた

Moment of #Cygnus capture inside Cupola. Happy to be a part of this great NG-15 Team. #シグナス宇宙船 キャプチャーの瞬間のクーポラ内部の様子です。スペースXほど派手ではありませんがこれも立派な宇宙商業化の一環です。地上との連携もスムーズにいきました。

2/22

シグナス
キャプチャ

Happy #100days in #Space #SpaceX #Crew1 打ち上げから無事100日が経過しました!

2/17

100日
経過

おかげさまで #船外活動 無事に完了しました。#ISS の一番端にある太陽電池アレイでの6時間の過酷な作業でした。視界を遮るものが無い場所で4回の日没、月夜、日の出、そして眼下に広がる瑠璃色の地球。全てが掛け替えの無い体験でした。皆さん応援ありがとうございました

2/25

あーたまーをくーもーの うーえにだーしー 朝陽を浴びる #富士山 Mt. #Fuji at sunrise

3/6

朝陽を
浴びる富士山

手を取りそして離した 未来のために Small Satellites were successfully deployed.

3/8

超小型
衛星放出

Meet #Crew1 wearing #SpaceX spacesuit inside #Kibo #スペースX の宇宙服着て記念撮影!

4/2

Crew1
記念撮影

#Crew1 #Crew2 #SoyuzMC18 joint dinner. 新しい仲間を迎えて #宇宙 での大歓迎会が開かれました。

4/26

宇宙での
大歓迎会