reportレポート野口宇宙飛行士の活動レポート 01

2019.07.23

野口宇宙飛行士 バックアップクルー終了 ~米・民間宇宙船に向けた訓練へ

野口宇宙飛行士は、2019年7月21日(日本時間)に打ち上げが行われた国際宇宙ステーション(ISS)第60次/第61次長期滞在のバックアップクルーとして、1年以上訓練を続けてきました。バックアップクルーとは、プライムクルーが搭乗できなくなった場合にその代わりを務める役目で、プライムクルーと同等の訓練を受ける必要があるのです。その訓練の様子をご紹介します。

写真1(出典:JAXA/GCTC)

写真1(出典:JAXA/GCTC)

船外活動のためのスペーススーツ(宇宙服)は、ロシアとNASAでは異なります。野口宇宙飛行士も、ロシアのスーツ「オーラン」を着て訓練を行いました。通常、日本人宇宙飛行士がこのスーツで船外活動を行うことはありませんが、ロシア人宇宙飛行士がオーランを着るのをサポートするために、それがどんなものかを知っておくのは必要なことなのです。野口飛行士は1998年以来3回にわたりオーラン宇宙服訓練を実施しており、日本人としては最長のロシア船外活動潜水訓練時間を記録しています。(写真1)

写真2(出典:JAXA/GCTC)

写真2(出典:JAXA/GCTC)

ソユーズでの打ち上げ/帰還時の重力を体験してその対処を訓練するために、セントリフュージ(遠心加速器)での訓練を行いました。野口宇宙飛行士は、医師から対処法を学んだあと、カプセルの中に入りました。カプセルをぐるぐる回すことによって、打ち上げ/帰還時の強い重力を再現するのです。訓練中は医学データを医師たちがモニタしています。(写真2)

写真3(出典:JAXA/GCTC)

写真3(出典:JAXA/GCTC)

水上サバイバル訓練は、池の上にソユーズ宇宙船を浮かべて行います。帰還時に水上に着水した場合を想定しての訓練です。この訓練では狭い宇宙船内でソコル与圧服を脱いで宇宙船外に出たり、ソコル与圧服を着たまま船外に出たりする練習をします。訓練開始のために、グラグラ揺れる船内に与圧服を着て入るのは大変そうですね。滑ったりして怪我をしないように、インストラクターたちも細心の注意を払っています。(写真3)

写真4(出典:JAXA/GCTC)

写真4(出典:JAXA/GCTC)

訓練の中には、「宇宙食の試食」というちょっと楽しみな時間もあります。片手に缶詰の宇宙食、片手に採点表を持って、一口ずつ30品目ほどを試食します。最近は、ロシアの宇宙食も種類が増えてきたのだとか。真剣な表情で試食をする野口宇宙飛行士。お味はどうだったでしょうか?(写真4)

写真5(出典:JAXA/GCTC)

写真5(出典:JAXA/GCTC)

打ち上げの1か月ほど前になると、クルーとして承認されるための最終評価試験を受けます。写真は、試験開始前の記者会見の様子。クルーの緊張が伝わってきますね。(写真5)

写真6(出典:JAXA/GCTC)

写真6(出典:JAXA/GCTC)

無事、クルーとして承認された野口宇宙飛行士は、ガガーリン宇宙飛行士訓練センター(GCTC)の視察に。人類初の有人宇宙飛行を成し遂げたガガーリンの執務室で、ノートにサインをするのが恒例行事となっているのです。野口宇宙飛行士が持っているのは、アポロ11号でも有名なアームストロング宇宙飛行士のサイン。偉大な宇宙飛行士の歴史の1ページを前に、野口宇宙飛行士もちょっとうれしそうです。(写真6)このあと、野口宇宙飛行士も、ノートにサイン。新しい歴史の1ページを刻みました。

写真7(出典:JAXA/Andrey Shelepin/GCTC)

写真7(出典:JAXA/Andrey Shelepin/GCTC)

2019年7月20日をもって、バックアップクルーの任を解かれた野口宇宙飛行士。(写真7 ソユーズMS-13の前でポーズをとるバックアップクルー)今後は、アメリカの民間宇宙船での打ち上げ予定のISS長期滞在に向けての訓練が始まります。

  • *断りの無い限り、日時はISSでの時間(世界標準時(日本時間-9時間))です。